【潜入】instax™フィルムの秘密に迫る。足柄工場で触れる、一枚に凝縮された技術と徹底したこだわり。
独特の風合いを楽しめることに加え、バリエーション豊かなサイズ・柄も魅力のinstax™フィルム。
このフィルムを作る工場が、神奈川県南足柄市にあります。今回は、普段は見学できない工場に潜入し、instax™フィルムの秘密を探ってきました。

instax™フィルムの歴史
箱根町や小田原市の隣に位置する南足柄市。ここは、富士フイルム創業の地でもあります。さまざまな製品が作られている富士フイルム神奈川事業場足柄工場のなかには、生産ラインも設置されています。
フィルムの生産には、良質な水ときれいな空気が不可欠。工場に適した場所を調べる中で、箱根山の麓に理想的な湧水を発見したことから、南足柄市でinstax™フィルムが作られることになりました。

instax™フィルムには、銀塩写真の技術が使われています。光を受けて化学反応が進み、黒く銀になっていく化学物質「銀塩」を感光材料として使用したプリント方式を銀塩写真と言います。
銀塩写真が初めて発表されたのは1839年。富士フイルムは古い文献も集めて研究を重ね、独自にinstax™フィルムを開発し、1998年12月に初代機となるinstax mini 10™とともに発売しました。


instax™フィルムを作り上げる技術
一般的な白黒フィルム写真は、フィルムカメラで撮影した後に現像すると、白黒の反転したネガフィルムができあがります。そのネガフィルムをさらにもう一度引き伸ばして印画紙に露光し、現像することで、目で見たのと同じような画像に仕上がります。
instax™フィルムは、この撮影・現像・焼き付けの一連の流れを、1枚のフィルムの中で行えるように設計されています。
光を記憶する、18層の超精密レイヤー
instax™フィルムはなんと18層ものレイヤーでできています。厚さはわずか数十マイクロメートル。レンズを通った光は、色ごとに別のレイヤーで反応し、像が記憶されます。

さらにフィルムの中には、100種類以上の原材料をブレンドしたさまざまな物質が塗布(とふ)されています。工場ではこれらの物質を同時に10層以上塗り重ねており、その薄さは食品用ラップと近いレベルです。
この多層構造の中には、少ない光量でも反応できるように、特別に設計された銀塩粒子も。こうした工夫によって、美しい発色と高精細な画質が実現されています。
「instax™だけの発色」を生み出す化学反応
実は、instax™フィルムの下部、少し厚くなった部分(ポッド)に現像液が入っています。カメラからフィルムが出てくる際にこの袋が破れ、現像液が染み出します。さらにカメラ内のローラーが現像液をフィルム全体に均一に伸ばしていきます。

また、現像はタイミング調整も重要です。かける時間が短すぎても長すぎても、きれいな画像にはなりません。気温によってもちょうど良い現像時間は変わります。そのため、気温を感知して適切なタイミングで現像を停止する材料などが、フィルムの中には配合されています。こうした仕組みによって、約90秒かけてじわじわと像が浮かび上がる、美しい画質が保たれています。

10種類以上の部材を組み合わせてフィルムに
複数の部材を組み合わせる工程も、この足柄工場で行われています。ひと繋ぎになったレーンの上で、様々な部材が組み合わされていきます。
最終的に光を遮断するアルミパウチ袋や小箱に詰めるところまでこの工場で行われ、わたしたちの手元に届くinstax™フィルムが完成します。検査も慎重に行われ、一見しただけではわからないようなわずかなズレまでチェック。高品質なinstax™フィルムだけが選別され、世界中に発送されています。


一生モノの思い出にするための「耐久性」
チェキ™プリントをスマホの裏に入れたり、インテリアとして飾って楽しんだりしている人も多いはず。多様な使い方に耐えられる耐久性も、複数の技術が組み合わさったinstax™フィルムならではの特徴です。水濡れにも強いので、持ち歩きにも安心。一生モノの思い出をずっときれいに保存するために、工夫が凝らされたフィルムなのです。


約90秒で美しいチェキプリント™に仕上げるために、数多くの技術が用いられていることがわかりました。小さなフィルムの中に詰まった技術をイメージして撮影してみると、いつもの一枚がもっと楽しくなるかもしれません。
※ instax、チェキ、チェキプリント、instax mini 10は富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。
※ チェキプリント™はイメージです。
Photo by 高見 知香
text by 白鳥 菜都


