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【チェキ×さえりさん】“好き”を見つめなおす九品仏〜自由が丘散歩

日常を見つめるってエモい、という記事を第一弾で執筆しましたが、今回はチェキを持って「九品仏駅〜自由が丘駅の間」を散歩してきた。

「好きな場所を、チェキを持って散歩してみてください」と言われて真っ先に選んだ場所だ。

今回も使ったのは「“チェキスクエア” instax SQUARE SQ10(以降、SQ10)」。従来のチェキとは違い、なんと「ハイブリッドインスタントカメラ」。

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撮った写真は後から見返すことができるし、

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フィルターをかけたり明るさを変えたりと編集することも可能。

もちろん「プリント」のボタンを押せば、従来通り、その場で印刷ができる。

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印刷の動作が、かわいい。

このチェキを持って散歩した九品仏。九品仏、と聞いてもピンとこない人が多いかもしれない。駅名は「くほんぶつ」と読むのだけれど、駅前にある大きなお寺「九品仏浄真寺」に9体の阿弥陀如来像が安置されていることからこの名前がついている。

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おしゃれタウン「自由が丘」までは東急大井町線でわずか1駅。九品仏〜自由が丘間は歩いてわずか10分程度だが、あまり知られていないこの駅。その強すぎない存在感も、好きな理由のひとつかもしれない。

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▲とにかくほのぼのとした街並み

わたしはここに、3年近く住んでいた。まだ学生だったわたしは体調を崩して実家に帰ったのち、九品仏を東京に戻ってくる最初の住処として選んだのだった。

住んでいたのは、住宅地にひっそりとあるシェアハウス。

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敷金礼金0円、そのうえ家具家電付き、お風呂もキッチンも広々していて自由が丘にすごく近い立地の8畳、光熱費とインターネット料金込みで7万9千円(具体的!)は、休学の際に一切の家具家電を捨ててしまったわたしにとってはありがたく、おそるおそるシェアハウス暮らしをスタートさせた。

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▲駅前のスーパーの商品たちもチェキを通せばみずみずしい

女性限定7人で暮らせる家。

もともと友人からは協調性がないと思われていたのか「共同生活なんて無理そう」と散々言われたが、結局居心地が良すぎて3年も住み着いてしまった。

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一緒に住んでいる女の人のほとんどはわたしよりも年上。思い出といえば、時折深夜に開催されたりされなかったりする恋バナ。

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一番印象に残っているのは、30代の女性がキュウリをストンストンと切り落としながら「大恋愛だって思っても、終わってしまえば女はすぐに忘れるからね」と言った瞬間だった。

わたしはあのとき、ソファでクッションを抱えたままなにかを学んで、ちいさく大人になった。

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▲空が広く、落ち着いた空気

九品仏のどこが好きですか? と聞かれたら、「九品仏駅から自由が丘駅に向かう間の緑道」と答える。

空が広くて、四季折々に花が咲き、小ぶりでこなれた犬達がどこか誇らしげに飼い主と散歩をしているあの道。

チェキを持って散歩に出かけたこともあった。

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復学したころは、わたしは草花の名前も全く知らないような大学生だったのだけれど、九品仏の緑道には木にひとつひとつ名前の看板がぶら下がっていたおかげで、わたしはいくつかの花の名前と咲く時期を覚えた。

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九品仏暮らしのキーになる思い出は、「ハクモクレン」という木にある。

ハクモクレンを初めて見た時は、なんて華やかな枯れ木なのだろうと思った。花がついていないのに“華やかな枯れ木”と言われてもピンとこないかもしれないけれど、とにかくあの枯れ木はわたしが見てきた枯れ木のなかで唯一“華やか”なのだ(気になった人は是非ググってみてほしい)。

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当時のわたしは今よりもちょっと感性が豊かで、何か余計なことを考えて悩んでいるような子だったと思う。将来も決まっていなかったし、久しぶりに東京に出てきて一人で暮らし始めて足元も不安定だったから、よく空をみながら考えごとをした。それは大抵悲観的なことか壮大すぎることだったように思う。

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華やかな枯れ木にふさふさの産毛みたいなものをまとった大きなつぼみがついて、日に日にぷっくりと膨らみ、はじめて「ハクモクレン」が咲いた3月のことはよく覚えている。夜中、暗闇のなかでぼぉっと浮かび上がるあの白い花達があまりにも幻想的で、おもわず息をもらした。

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「ハクモクレン」のしたで恋人と喧嘩をしたこともあったし、好きな人の腕の中から「ハクモクレン」をみたこともある。

冬は未だに嫌いだけれど、あの花を知ってから冬が少し好きになった。あんなにゆめみたいな木を、他に知らない。

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「ハクモクレン」以外のあの緑道の好きなところは「空の広さ」だった。天気のいい日は星がたくさん見えた。

当時のことはよく覚えている。

毎日のように同じ時間に泣きながら空を見ていると、真正面に見えていたオリオン座の位置は、日に日に傾いていった。涙の原因であった職を辞め、転職をして、新しい環境で楽しく働いているうちに、同じ時間に歩いていてもオリオン座はすっかり見えなくなって。

季節は本当にまわって、時間は本当に過ぎて、そして辛いこともこんな風にぐるぐるとのぼったり沈んだりするのかな、なんて思った。

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草花が徐々に咲いたり、見える星座が徐々に変わったり。季節が流れていくことがこんなにも嬉しいものだとわかるいい大人になれたのもこの場所のおかげだと思っている。

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他にも、会社をさぼって歩いて散歩した日の記憶とか、駅の近くにあるたこ焼き屋さんでたこ焼きを買って道路の脇で食べた記憶とか、あとは自分のシェアハウスで雨が降っているときに窓をあけて雨を鑑賞していたら「雨の日だけでてくる妖怪みたいだ」と同居人に笑われた記憶とか。

九品仏にまつわる思い出は尽きない。

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住処や職場を次々変えてしまうわたしだけど、この場所に3年も住んでいたから、やっぱりここが好きなのだなと思う。

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わたしにとっての九品仏のように、きっと誰にでも生活をしていた特別な場所はあるはずで、そこをもう一度見つめ直してみるのはシンプルに言って楽しい。

“好き”をもう一度見つめ直すチェキ散歩は、大人こそやってみてほしい。昔住んでいた場所を訪れて、好きだった場所を今の目で収めていく贅沢な遊び。

この日わたしが撮った写真たちは10月3日(火)〜10月15日(日)に展示されることになりました。

ぜひ、見に来てください。日常を、好きを、見つめ直したくなる大人たちが少しでも増えますように。

 
日常篇も読む!

 
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INFORMATION

いつものこと〜変わらない日々を愛せるか〜
夏生さえりチェキ写真展

さえりさんが本記事で撮影をしたチェキや、今まで撮りためたチェキをさえりさんの言葉と共に展示をいたします。
合わせてオリジナルグッズも販売予定です。
実際に写真を見ることができる貴重な機会にぜひ、遊びにいらしてください。

2017.10.03日(火)〜10.15(日)

FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP

住所:東京都渋谷区神宮前6-29-4 2F
電話番号:03-6427-9709
営業時間:1F 11:00〜20:00/2F 11:00~19:00
※第2・第4木曜日は1F・2F共 18:00まで

詳細はこちら

INFORMATION

トーク&交流会イベント「さえりさん×イラストレーター五島夕夏さん」

今回、チェキで日常を見つめ直したライターのさえりさんと、交流のあるイラストレーター五島夕夏さんが「日常」をテーマにトークイベントを開催します。
また当日はさえりさんの言葉と写真がつまったZINEや五島さんが描いたイラストのポストカードや缶バッチなども販売予定。
さえりさんと五島さんが考える日常の見つめ直し方を聞きにいらしてください。

2017.10.05(木)
FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP

東京都渋谷区神宮前6-29-4 2F
OPEN 19:00/START 19:30
定員:最大35名
参加費:1,000円
参加方法:メールでの予約制(抽選)
下記、E-mailアドレスにて内容を記載の上お送りください。

【E-mail】wonderphotoshop@gmail.com

【タイトル】『10月5日トークショー予約』 

【本文】以下情報のご入力をお願いいたします。

①お名前
②年齢
③電話番号
④お友達を連れて来る場合、お友達の人数とお名前
⑤一言
※抽選結果は9月29日(金)にメールにて応募者全員にご返信いたします。

詳細はこちら

text by Saeri Natsuo
photo by ︎ Nozomu Toyoshima

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