3人のフォトグラファーが語るフィルムの魅力とプリントをして残すこと #2
Interview:なかむらしんたろうさん
シャッターを押したその一瞬は二度と来ない
──いつ、どんなきっかけで写真を撮るようになりましたか?
19歳。友人との記録を残したくて、冬休みに稼いだバイト代でCanon Kiss x2 を購入しました。「作品」というよりは、“友人を撮る”行為が楽しくて撮っていました。当時から風景やモノを撮ることにテンションが上がらなかったことは覚えています。
──今回はどんなテーマで撮影をしましたか? なぜそのテーマを選んだか理由も教えてください。
自分が好きなテーマのひとつ「日常」を楽しみながら撮ってみました。instaxで撮る晴れた日の色が好きなので、ふだんの散歩にすこし遊びを加えたような写真にしています。
──今回撮影した作品のなかでお気に入りの1枚はどれですか? また撮影時のエピソードなどがあれば教えてください。
被写体が友人だったので、無駄話をしながら、下北沢を散歩しました。撮影時間より無駄話とクレープの待ち時間の方が長かった気がします。お気に入りは1枚目の写真です。色やバランスはもちろんのこと、目の下のクマや表情含めて“今”を切り取っているようで。チェキならではの1枚な気がしました。デジタル写真であれば、そのクマも消していたかもしれません。
── “撮る”という行為にはどんな意味がありますか?
自分にとって”撮る”という行為はコミュニケーションの一部だと思っています。撮ること(前後も含む)で生まれる関係値やつながりがとてもすきです。極論、被写体や依頼者がポジティブになれる写真や現場をつくりあげることが僕にとってのベストです。
──写真で何を残したい(あるいは表現したい)と思っていますか?
その瞬間の全てです。画以外の情報をたくさん詰め込んでいると思うので、嫉妬してもらえたらと思っています。
──フィルムの魅力は何ですか?
撮り直しができないことはフィルムの魅力の一つだと思います。現像後の写真を見て、ピントのズレや被写体のブレを見るたびにシャッターを押したその一瞬は二度と来ないことを改めて実感させられます。
──プリントして残すことの価値は何ですか?
手で渡せたり、ふと見返せたり。スマホの中に格納してしまうと忘れてしまうような1枚もプリントをして、手元に置くことで大切にできるように思います。
──今回、「“チェキワイド” instax WIDE 300(以降、WIDE300)」を使ってみた感想はいかがでしたか?
画角が広く、ふだんから使っているスクエアで撮る感覚とは違って面白かったです。上がりがすぐ見られるので、被写体である友人と意見を言い合いながらバランスを考えました。
PROFILE
なかむらしんたろう
愛知県出身。現在はポートレートをメインにアーティスト写真、インタビュー撮影等様々なメディアで暗躍中。2019年2月には姫乃たま写真集「私小説」をサイゾーより刊行。デザイン会社(SCHEMA,inc.)に所属し、制作ディレクターとしても活動。
この記事のキーワード
SHARE