3人のフォトグラファーが語るフィルムの魅力とプリントをして残すこと #3
Interview:国分真央
今の眼差し(撮った瞬間の写真)を「未来」に向けて撮っている
──いつ、どんなきっかけで写真を撮るようになりましたか?
高校生の時に油絵を専攻していて、部活も吹奏楽部に入っていたので、もともと芸術には関心がありました。その中で写真をガラケーでなんとなく撮っていたら表現したい事が写真でもできる気がして。中でも油絵は時間をかけて描いていくものに対し、写真は一瞬の切り取りで完結するギャップに惹かれました。そこから、写真も頻繁に撮るようになりましたね。
──今回はどんなテーマで撮影をしましたか? なぜそのテーマを選んだか理由も教えてください。
今回は「身近」「遊び心」をテーマにして、友人と撮りに行ったときの作品と、部屋で撮った作品を選びました。暗い中でもキチンと撮れますし、身近なものや人でも撮り方の工夫次第で見る人に考えさせたりだとか、機能の1つでもある多重露光が、より作品の質を高める事を皆さんに見せたかったです。
──今回撮影した作品のなかでお気に入りの1枚はどれですか? また撮影時のエピソードなどがあれば教えてください。
今回の中で1番お気に入りは、目と十字架のような模様の多重露光です。女性の目と、十字架のような写真を組み合わせる事で、人の「優しさ」や「祈り」みたいなものを表現したかったので。この写真は部屋の中で撮ったのですが、色味にもある、午後の柔らかな光の中で撮りました。十字架のような模様は、そんな午後の光があたるカーテンの光と影を多重露光させたものです。
── “撮る”という行為にはどんな意味がありますか?
このテーマについては、よく一人でも考えます。私の中で思う事は、今の眼差し(撮った瞬間の写真)を「未来」に向けて撮っていることなんじゃないかな、と。そこに意味を見いだしている気がしています。そしてこれからも、只今を生きて撮り続けていれば、自ずと未来の自分を励ましているんじゃないか、過去の私はこんなステキな写真を撮れたよ、今の私はどう?と、過去に映した自分の写真に自問自答をし続けて、小さなタイムカプセルの繰り返しの様な。そんな意味が、私の人生において撮る意味かと思います。
──フィルムの魅力、また、プリントして残すことの価値は何ですか?
人間って、「見る」ことより「触る」事のほうが記憶の質量が違う気がしています。プリントして、はじめてその写真を「見る」+「触る」事になると思うのですが、ただデーターとして見るだけではなく、物として存在した方が記憶に残りやすいし、感情の高ぶり方も変わると思うんです。現代に生きる人は画面越しに見るデーターに見慣れすぎていて、心から感動する感情が薄れている気がしています。ですが、チェキにはそういう感情を引き出す魅力があると思っていて、物体となって、もっと良い記憶となって人の心に昇華していくんじゃないかな、と思っています。
──今回、「“チェキスクエア” instax SQUARE SQ10」を使ってみた感想はいかがでしたか?
もともとFUJIFILMのチェキシリーズは昔から使っていたのですが、何より正方形で写真がプリントされて、とても親しみやすいのと、多重露光や撮ってから色味編集が出来るのは嬉しいです。そのお陰で撮ってからも作品として向き合えるので、クオリティが上がるのも嬉しいポイントだと思います。
Profile
国分真央
東京都出身の写真家。instagramを中心に活躍中。彼女の写真は美しい色合いと人が自然に溶け込む様な写真が特徴的であり、美しい世界観を確立させている。書籍や広告撮影、CDジャケットなど、活動の幅は多岐に渡る。
今回使用したチェキ
“チェキスクエア” instax SQUARE SQ10
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