3人のフォトグラファーが語るフィルムの魅力とプリントをして残すこと #3
Interview:山本春花さん
撮影したときの感情をより濃く閉じ込めることができる
──いつ、どんなきっかけで写真を撮るようになりましたか?
大学生のとき、ギターポップバンド「spaghetti vabune!」のチイコさんのブログに載っていた写真を見たのがきっかけでした。富士フイルムのナチュラクラシカで撮影されたフィルム写真の描写がとてもきれいで、自分も撮りたい!と思いすぐに手に入れました。大学を卒業してからは旅行代理店で働いていたので、アイスランドやスウェーデンなど北欧へ旅してフィルム写真を撮るのが何よりの楽しみでした。
──今回はどんなテーマで撮影をしましたか? なぜそのテーマを選んだか理由も教えてください。
ライフワークとして撮影している『乙女グラフィー』の別カットとして「“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック(以降、mini 90)」を使用しました。この『乙女グラフィー』というポートレートシリーズは全てフィルムで撮影しているのですが、オフショットとしてよくチェキを使用します。チェキの魅力の一つに「色」発色の独特さがあると思うので、今回はモデルさんにピンク色のパジャマを着てもらい、さらに黄色いチューリップを持ってもらって撮影しました。色でやるならポップにやろう!と思いピンクフレームを使用してみました。フレームによって写真の印象が変わるのもチェキの面白いところです。
──今回撮影した作品のなかでお気に入りの1枚はどれですか? また撮影時のエピソードなどがあれば教えてください。
やはりマクロモード楽しい!フィルム独特の質感を保ちつつ、ここまでアップで撮れると迫力も出ますよね。わたしはついつい被写体にグッと寄って撮ってしまう癖があるのですが、マクロモードがついていて、かつパララックスが少ないチェキは重宝します。撮影時はいつも和気藹々としていますが、出てきたフィルムがかわいくて、更に現場のテンションを盛り上げてくれました。
── “撮る”という行為にはどんな意味がありますか? 写真で何を残したい(あるいは表現したい)と思っていますか?
わたしにとって、写真を撮るという行為はコンプレックスの解消につながっています。日常生活の中で感じるストレスや違和感を写真に撮って客観的に眺めることによって、その原因を明らかにしたいという気持ちがあります。といいつつも、やっぱり写真は楽しいものだと思っているので、日常を残すのが一番好きです。
──フィルムの魅力、また、プリントして残すことの価値は何ですか?
「見る」という視覚だけではなくて、「触る」「嗅ぐ」などプリント自体を身体で感じることができること。その経験を経て記憶に強く残ること。フィルム写真は撮影したときの感情がより濃く思い出されるし、写真自体にもその感情が残っている気がします。
──今回、mini 90を使ってみた感想はいかがでしたか?
二重露光やバルブ、マクロモードなど色々な機能が盛り沢山なのに軽い!そして見た目もスタイリッシュでカッコいいです。チェキは結構前から使っていますが、mini90の画質の進化に驚きました。
Profile
山本春花
フリーランスフォトグラファー。雑誌・CDジャケット・広告の撮影などで幅広く活動中。2014年より女性ポートレートシリーズ「乙女グラフィー」の連載を開始。自らの“老い”に向き合うことをテーマとしており、同年開催されたアートフェア「台湾フォト」に出展された。2018年8月、スタンダーズより同タイトルで写真集を上梓。
今回使用したチェキ
“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック
“チェキスクエア” instax SQUARE SQ6
“チェキスクエア” instax SQUARE SQ20
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