チェキは今年で25周年。代表モデルを当時のカルチャーとともにプレイバック
友達との何気ないひと時から、成人式や結婚式といった晴れの日まで。いつの時代もかけがえのない瞬間を切り取り続けてきたインスタントカメラ「チェキ」は、今年で25周年。シャッターを切ればすぐにプリントされるというシンプルな機能のカメラが、今では画像に100通りのエフェクトを楽しめるハイブリッドタイプが登場するなど、劇的な進化を遂げました。そんなチェキの歴史を、当時流行したカルチャーとともに振り返ります。
当時のカルチャーとともに振り返る、チェキ25年の歴史
1998年、初代チェキ「INSTAX mini 10」がお目見え
宇多田ヒカルやaikoといった大型新人歌手のデビューに加え、バンド・GLAYの楽曲『誘惑』のスマッシュヒットなどによってCD総売上げが日本史上最高枚数の3億291万3000枚を記録。長野オリンピックでは日本選手団が5個の金メダルを獲得し、“大魔神”こと佐々木主浩選手の活躍により横浜ベイスターズが38年ぶりの優勝。カルチャーやスポーツシーンが1990年代の中でもとりわけ大きな盛り上がりを見せた1998年に、インスタントカメラ「チェキ」は産声をあげました。記念すべき初代機である「INSTAX mini 10」は近未来的なシルバーのデザインが特徴。イメージキャラクターに滝沢秀明を起用したCMも当時大きな話題を呼び、品切れが続出するほどの人気を博しました。
1999年、プリントサイズ2倍の「INSTAX WIDE 100」発売
日本公開された記念碑的映画『アルマゲドン』『スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス』『マトリックス』がSFファンを大いに沸かせ、タイトルの枠を超えてキャラクターがバトルを繰り広げる『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』などの名作ゲームも世間を賑わせた1999年。20世紀の節目は、拡張し続けるエンタメ表現の新たな可能性を感じた年でもありました。そんな中で発売したのが 「“チェキワイド” INSTAX WIDE」。プリントサイズが従来のカードサイズの2倍になったことにより、大人数のパーティーなどでも被写体の表情までしっかり写せるように。チェキを使った写真表現も拡張されました。
2001年、チェキといえばこれ!な「INSTAX mini 7 “チェキポップ”」登場
2001年は初の2カ国共同開催である「FIFAワールドカップ日韓大会」で世間がサッカー一色に。特に当時イングランド代表のデビッド・ベッカムはその華麗なプレーだけでなく、トレードマークのソフトモヒカンヘアでも注目を集めました。そんな中で発売したのが、エントリーモデルの「“チェキポップ”INSTAX mini 7」。丸い形状とポップなカラーリングがトレードマークのモデルで、“チェキといえばこれ”なんて思う方も多いはずです。そして結婚式やパーティーでのニーズやプリクラブームの影響も手伝い、チェキの注目度はさらに上昇。翌年2002年にはチェキ全体の年間販売台数が100万台を記録しました。
2005年、「INSTAX mini 25」で自撮りチェキが可能に
“愛・地球博”こと名古屋万博が開催された2005年。マンモスの冷凍標本や未来を感じさせる歩行ロボットなどをお目当てに、世界中から2,200万人が来場しました。その一方で、動画配信サービス「YouTube」が開設され、インターネット空間での自己表現がお手軽になったのもこの頃から。そしてINSTAXシリーズからは「INSTAX mini 25」が発売。撮影時に自動で明るさを認識する「明るさオート機能」や、写真の質感を3段階で調節できる「濃淡コントロール機能」に加え、最大の魅力はレンズの横にセルフィーミラーが搭載されたこと。チェキを使った自撮りもグンとお手軽になりました。
2010年、おとなも楽しめるスタイリッシュチェキ「INSTAX mini 50S」登場
『ヘビーローテーション』『ポニーテールとシュシュ』『Troublemaker』『Monster』など、オリコンのシングル年間トップ10がAKB48と嵐の楽曲一色だった2010年は、まさにアイドル絶頂期。一方で、ファッション業界では“山ガール”スタイルがトレンドとなり、流行語大賞にもノミネートされました。INSTAXシリーズからは、大人もコーディネートに取り入れやすいスタイリッシュなチェキとしてシックなブラックの「INSTAX mini 50S」が発売。広々とした画角はもちろんのこと、自動的に背景が明るく撮ることができる「背景きれいフラッシュ」など、鮮明な画像をより簡単に撮れる機能も搭載しました。
2012年、世界で一番“カワイイ”「INSTAX mini 8」がリリース
世界一の電波塔「東京スカイツリー」や、大型商業施設「渋谷ヒカリエ」が開業。2012年は、目まぐるしく“東京像”が更新された年でした。その一方、音楽業界ではアーティストのきゃりーぱみゅぱみゅが、ポップで毒っけのある新たな“原宿像”を発信。楽曲『つけまつける』が国内外のヒットチャートを席巻するなど、彼女の描く“Kawaii”世界観が世間を魅了しました。そんな中、INSTAXシリーズからは「世界で一番“カワイイ”」をテーマにした、パステルカラーが基調のモデル「INSTAX mini 8」が発売。原宿系を代表するファッションモデルを採用したパッケージデザインも話題となり、爆発的なヒットを記録しました。
2014年、初のスマホプリンター「INSTAX SHARE SP-1」が発売
2014年。音楽シーンでは、シンガーのファレル・ウィリアムスによる『Happy』がビルボードチャート1位を獲得。YouTube では有名・無名問わずさまざまなユーザーによる2,000本近いダンス動画が投稿され、社会現象を巻き起こしました。そんな中、INSTAXシリーズからは初となるチェキプリンター「INSTAX SHARE SP-1」が発売。専用のアプリを使えば、スマホで撮影した写真をプリントすることができる機種です。何度でも同じチェキプリントを出力できるので、「目つぶりだった!」なんて“あるある”とも無縁に。
2017年、スクエアフォーマットの「INSTAX SQUARE SQ10」登場
世界中のユーザーと手軽に対戦できるゲーム機・Nintendo Switchが発売された2017年。新語・流行語大賞には「インスタ映え」がノミネートされるなど、同じく世界と繋がれるSNSがメジャーな存在となった年でもありました。そんな中で発売されたのが、Instagramと同じスクエアフォーマットの「INSTAX SQUARE SQ10」。チェキプリント前の画像編集や加工が可能になるなど、革新的な機能も搭載されました。ちなみに、翌年の2018年にはチェキの年間販売台数が世界1000万台を記録。歌手のテイラー・スウィフトがチェキユーザーであることが話題になり、彼女がデザインを監修したモデルが発売されるなど、チェキの世界的な人気を印象付けるできごともありました。
2019年、“音”も撮れる新時代チェキ「INSTAX mini LiPlay」がリリース
“ONE TEAM“をスローガンに掲げたラグビー日本代表チームが、W杯で史上初の8強入りを果たした2019年。5月には元号が平成から令和へと変わり、日本が新たな節目を迎えた年でもありました。そして、Official髭男dismやKing Gnuといった新鋭アーティストが続々とメジャーシーンで活躍し、音楽業界にも“新時代”が到来しました。そんな中INSTAXシリーズからは、撮影時に“音”も記録できる「INSTAX mini LiPlay」が発売。手のひらに収まるコンパクトさや圧倒的な軽量性に加え、スマホ内の画像をプリントできる「ダイレクトプリント」機能を搭載。チェキの楽しみ方も新たなステージに到達しました。
2021年、「INSTAX mini Evo」で100通りの表現が可能に
メジャーリーガーの大谷翔平が“二刀流”の活躍によってMVPを獲得し、東京オリンピックでは日本選手団が史上最多のメダル58個を記録した2021年。2019年に発生した新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、スポーツが日本中を熱狂させた年でもありました。INSTAXシリーズからは、10種類の“レンズエフェクト”と10種類の“フィルムエフェクト”をかけ合わせることによって100通りの表現ができる「INSTAX mini Evo」が発売。これまでにない最新機能を搭載しつつ、デザインはシックでスタイリッシュなヴィンテージカメラ風に。デジタルとアナログのいいとこ取りな仕上がりが人気を呼びました。
2022年、進化したスマホプリンター「INSTAX mini Link2」&「INSTAX SQUARE Link」が発売
名作映画の続編『トップガン・マーヴェリック』が世界的なヒットを博し、Netflixでは宇多田ヒカルの楽曲をテーマにしたドラマ『First Love』が流行。Z世代の間ではルーズソックスを履く“平成ギャル”スタイルがトレンドに。2022年代のカルチャーを一言で表すなら、まさに温故知新でした。そんな中、「写真をプリントするアナログ感が一周回って新鮮」という理由からチェキも再評価の対象に。同年には2つのチェキプリンター「INSTAX mini Link 2」「INSTAX SQUARE Link」が登場しました。専用アプリでイラストを描くことができ、チェキプリントにスマホをかざすとエフェクトなどが表示されるAR機能なども充実。ただチェキプリントするだけではない、“遊べる”機能が注目を集めました。
「撮ってすぐプリント」が新鮮な1998年から、「AR機能でチェキプリントに絵を描ける」ことに驚く2022年へ。カルチャーの発展とともに、チェキも新たな機能や表現を提案し続けます。さて、次はどんな“驚き”が生まれるのか。それはこれから刻まれる新たなチェキの歴史にご注目あれ。
text by山梨 幸輝
この記事のキーワード
SHARE