
フローリスト・越智康貴がINSTAX mini 99™で表現する“自分自身”。タイで収めた花とおおらかな空気
「毎日、人差し指が痛くなるくらいシャッターを押しています。僕にとっての自己表現は花を生けるよりも、写真を撮ることなのかもしれません」
そう語るのは、フローリストの越智 康貴(おち やすたか)さん。
フラワーショップを手がける一方で、写真家や文筆家としても幅広く活躍しています。以前からチェキユーザーでもあるという越智さんが、今回はINSTAX “チェキ”シリーズの最新モデル「INSTAX mini 99(以下、mini
99)」を使用。「カラーエフェクトコントロール」による“色”表現と、「ビネットモード」「濃淡調整」による“光”表現を使った感想から、花や写真との繋がりまで、幅広く話してもらいました。
PROFILE
越智 康貴 (Ochi Yasutaka)
1989年生まれ。フラワーショップ「ディリジェンスパーラー」を表参道ヒルズと東京ミッドタウンにオープン。花や写真、文章を通してさまざまな表現活動を行う
「“東京感覚”から離れた」。mini99と過ごす、タイでのおおらかな旅行記
「いつも頭の中が“散らかって”います」。フローリストという肩書きに捉われず幅広く活動する越智さんは、自身のことをそう表現。 フラワーアレンジメントから写真、文など、さまざまな方法で独自の“色”を突き詰めています。
「写真を始めたきっかけは花を撮るためでした。最初に興味を持ったのは、真っ白な背景を用意して正面から撮るという撮影方法。花はそのままでも綺麗なので、余計な“ノイズ”を入れたくなかったんです。 そんな中である時、写真家の森山大道さんの作品集に出会って。とにかく大量に写真を撮るスタイルに衝撃を受けたんです。その影響で今は考えるよりも先にシャッターを押しまくる日々ですね」
そんな越智さんが今回mini 99を持って訪れた先は、タイのチェンマイ。マーケットやコテージリゾートなどでのバカンスの日々を切り取りました。
「帰国したくないくらい楽しかったです。些細なことですけど、ハッとさせられたのは、汁麺屋さんで何も言っていないのにパクチーがどっさり出てきた瞬間。最初、東京の感覚が抜けていなくて、原価のことなどが気になってしまったんです。 でも、こっちでは『たくさん採れたから』ぐらいの単純な理由でパクチーが出てきたんだなと。そんなおおらかな価値観に触れていく中で、自分の中の“東京感覚”から距離を置くことができました」
撮影したのは、ヴィヴィッドな色彩の造花や、たくましく咲くピンク色のブーゲンビリア、その日履いていた青のスニーカーに映える黄色のバターカップ、コテージで出会った猫の“トントン”など。暖かく色彩に溢れたタイでの旅情が伝わってきます。
「6種類のカラーエフェクトを使って、普段僕が撮らなそうなテイストの写真に挑戦してみました。特に『Sepia(セピア)』のモードは映画風の仕上がりで新鮮ですね。写真の四隅を暗くする『ビネットモード』はチェンマイの強い光とも相性がよかったです」
「mini 99で撮影するとどれも独特な質感に仕上がるのが好み。実は今、タイで思ったことをまとめた日記も書いているので、それとチェキプリントをまとめたら一つの作品集ができそうです」
撮影したチェキプリントは人にあげることも多いという越智さん。チェキそのものの魅力についても聞いてみました。
「データではなくカタチとして残るところですね。花と同じように誰かにプレゼントしやすいんです。撮影者である僕のもとを離れて、人の手に“流れていく”。それってとてもロマンティックなことだと思うんです」
人と“分かり合う”ための手段。越智さんが表現を続ける理由
越智さんが手がけるフラワーショップには、つい見入ってしまう個性がありながらも、様々な空間に馴染む花がずらり。セレクトする際のこだわりについても聞いてみました。
「一輪でプレゼントされても嬉しいガーベラやカーネーション、バラなどがメイン。たとえ同じ品種であっても、それぞれに個性があるんです。選ぶ際にこだわっているのは。その中から“ちょっと違うな”というエネルギーがあるものをセレクトすることですね」
フラワーアレンジメントでも唯一無二の世界観を作り上げる越智さん。独自の色彩感覚で、植物本来の生命力と美しさを引き立てています。
「実は僕にとってのスタイルと言えるものはあまりないんです。技術的に見ても複雑なことはやっていなくて、シンプルなやり方が中心。“高尚なものを作っている”と思われたくないからかもしれません。ただインプットとアウトプットをひたすら繰り返すことだけを意識しています」
「フラワーアレンジメントを自己表現と考えたことはないんです。僕の力を加えなくても花は最初から美しいですから。強いて表現するなら、社会と繋げてくれる大事な存在と言えるかもしれません」
その一方で「自己表現はやめられない」とも語る越智さん。そのエネルギッシュな創作意欲の向かう先が、写真と文章です。
「“こんなおもしろいことがあったよ”“こんなことをしたよ”ということを伝えたいんですよ。人と100パーセント分かり合うことはできなくても、東京で同じ生活様式で暮らしていればどこか通じあえる部分があるかもしれない。そういう人に共感してもらいたくて、僕は手を動かしているんです」
「ずっと全力で写真を撮ってきて、最近は文章も書いています。その自己表現の積み重ねが、今の自分を形作っていると言い切れる。そういう意味で、僕が持つ唯一無二の個性は自信があることですね」
photo by Kana Tarumi
text by 山梨 幸輝
INFO / 取材協力:omnibus DILIGENCE PARLOUR
住所 / 東京都渋谷区神宮前4-26-24
お問い合わせ / [web] https://diligenceparlour.jp/
“チェキ”
INSTAX MINI 99

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