グループ撮影がもっと楽しくなる「instax WIDE 400™」誕生秘話。製品担当者に訊く、WIDE 400とワイドに今を楽しむ方法
ボクシーシルエットに、絶妙なグリーンのボディーカラー、instax™らしい親しみやすさを感じながらも程よく無骨なデザインと、遊び心をくすぐる数々のギミック……。 2024年7月19日(金)、思わずアウトドアに持っていきたくなるチェキ™の最新機種「instax WIDE 400™」(以下、WIDE 400)が登場しました。 「グループ撮影」がもっと楽しくなるWIDE 400の誕生秘話を、企画担当の馬場さん、デザイン担当の齊藤さんに訊きました。
人気製品「instax WIDE 300™」の後継機は、アナログ感満載&遊び心をくすぐる一台
▲左:デザイン担当・齊藤さん / 右:企画担当・馬場さん
──WIDE 400は、2014 年に発売されたインスタントカメラ「instax WIDE 300™ (以下、WIDE 300)」の後継機として開発されたそうですが、10年ぶりのワイドフォーマットに対応した新製品ということで、特に意識した点はありますか?
齊藤さん:僕はデザインを担当したのですが、人気機種の後継機ということで、そもそもの「骨格」からブラッシュアップしました。 ワイドフォーマットに対応した製品はどうしても横幅が大きくなるので、出っ張りを無くしてなるべくコンパクトにするなど、工夫しましたね。
特に、WIDE 300は本体の右側に出っ張る形でファインダーがついていたのですが、コンパクトに抑えるためにWIDE 400ではファインダーを左上に移動させて、出っ張りを無くしています。
馬場さん:instax™全体でグローバル調査をしたところ、ワイドフォーマットは主にグループ写真で使われていることがわかったんです。 なので、そういったシーンでもっと使いやすくするために、そして「グループ撮影」をもっと楽しんでいただけるようにしました。
▲photo「チェキ™の使い方講座!「instax WIDE 400™」の使い方をマスターしよう!」
──“「グループ撮影」をもっと楽しんでもらえるように”というと、具体的にどんな機能が加わったのでしょうか?
馬場さん:今回WIDE 400で新たに搭載した機能として、最大10秒まで設定できるセルフタイマーがあります。これによって、より集合写真を撮りやすくなりました。 また、『カメラ角度調整アクセサリー』を同梱しており、これによって三脚がなくても被写体の高さに合わせて2種類の角度をつけられます。
──三脚を持ち歩かなくても、アクセサリーで手軽に角度調整できるのはいいですね。
馬場さん:僕自身、「三脚を持っているか?」と考えたら、「家のどこかに1脚くらいあった気がする……」といった感じだったので、ならシンプルにカメラを置いて、何かを挟むことで上向きにすればいいのではと。 あと、セルフタイマーも“ただつける”のではなく、実は操作性や音にまでこだわっています。
WIDE 400のセルフタイマーはレバーで操作するようになっており、レバーを回すとLEDが順番に点灯して、「ジジジジ」という音も鳴るという、“アナログ感”を出すのにこだわりました。 レンズリングを回すと電源のON/OFFができるという点も、アナログっぽさを楽しんでいただきたいという思いからです。
齊藤さん:このセルフタイマーの音が完成するまでには、結構な時間がかかりましたよね(笑)。
馬場さん:そうですね(笑)。実はこの音は、録音した音を流しているのではなく、実際にWIDE 400の中で部品と部品をぶつけて出しているんです。 今はスマートフォンで撮影することが当たり前になりましたが、ユーザーにはスマホでは味わえない特別感を楽しんでいただきたくて。
一昔前の電子レンジのダイヤルって、温めたい分数に合わせてダイヤルを回すと、「ジジジジ」という音とともに徐々にそのダイヤルが戻ってくるという仕様だったと思うのですが、 その“アナログ感”がユーザーの“ワクワク感”につながるのではと思い、技術メンバーに「昔の電子レンジのようなイメージでセルフタイマーをつけられないか」と、相談しました。
──実際に音が鳴っているとは驚きました。理想の音に辿り着くまでに時間がかかったのでしょうか?
馬場さん:技術メンバーが試作品を用意した状態で「物理的に音を鳴らす」というのを提案してくれて、その時点でかなりイメージに近いものだったのですが、細かいところの詰め作業に時間がかかりました。 鳴らす間隔が短いと音が繋がって聞こえてしまうので、イメージ通りの音にするために調整を繰り返しましたね。屋内で大き過ぎず、屋外でも聞き取りやすいボリュームにするのにも苦労しました。
──なるほど。では、デザイン面で特にこだわられた点はありますか?
齊藤さん:WIDE 400は、これまでのinstax™ユーザー以外の方々にも手に取って使っていただきたいと思ったので、そういったユーザーが好むものやライフスタイルがどんなものかを可視化しながらデザインを進めていきました。 さらにWIDE 300がリリースされたのは10年も前なので、「今の時代」に合ったデザインになるように意識しましたね。
──“「今の時代」に合ったもの”というと、どんなものでしょうか?
齊藤さん:例えば、色です。WIDE 400は一色展開なので、今人気のアースカラーを採用しつつも、性別問わず使用できるカラーを選定しました。 実はほかにも、ダークカラーだったり、ビビットな色だったり、たくさん候補があったのですが、最終的に幅広いユーザーが手に取ってみたくなる色に仕上がったと思います。
──本機のディティールに目を向けてみても、レンズリングの凹凸が少し丸みを帯びていたり、側面に3本のラインが入っていたりと、細かなこだわりが感じられますね。
齊藤さん:ありがとうございます。実は、側面の3本ラインが入っている箇所は、ちょうど電池の蓋の部分なんです。 電池を覆うようなイメージで3本ラインを入れてみたら良い感じだったので、「デザインに活かせるかも」ってひらめいて。WIDE 400のデザインは、実はこの側面の3本のラインから始まりました。
ほかにも細かいところでいうと、シャッターボタンもあえて中央を凹ませています。 シャッターボタンは手で触ったときに位置が分かりやすいように、膨らませたり凹ませたりすることがありますが、今回は全体の造形との相性を考えて、凹ますディティールを取り入れました。 WIDE 400は全体のデザインをあえて無骨な感じにしているので、ディティールで遊び心やinstax™らしい柔らかい印象を出したくて、工夫しました。
──「instax™らしさ」と「新規ユーザーが手に取ってみたくなる要素」を融合させているんですね。
齊藤さん:あと、裏蓋のロックが金属になっているのもポイントです。 金属の部分を倒してまわすと裏蓋が開くようになっていて、このギミックにもこだわりました。まわして開ける仕様は、instax™史上初の試みです。
──すごい。こんなに細かいところにまでこだわりが詰まっているんですね。使えば使うほど愛着が湧きそうです。
馬場さん:ありがとうございます。 本体が大きいので、グリップ背面の親指を置くところも、しっかりと安定するように工夫しました。
▲グリップのサイズを試作したモック
齊藤さん:大きいカメラにおいて、親指をかけるところがあるか、ないかって大事な要素だと思うので、幅広いユーザーに使用していただけるように、こだわりました。
アウトドアの相棒に。フットワークを軽くしたいならWIDE 400とともに
──手に取ってみたくなる要素が満載のWIDE 400ですが、「撮影するにはシャッターボタンを押すだけ」、「レンズリングを回せば遠景モードに切り替えられる」というシンプルさも良いですね。 アウトドアシーンなどでも気軽に撮影できそうです。
馬場さん:ワイドフォーマットは発売以来ずっと安定して人気なのですが、やはりイベントやアウトドアシーンで使っていただくことが多いんです。 ワイドだと複数人が入りやすかったり背景まで写せたりするので、集合写真はもちろん、風景だけで撮って飾っても絵になりますね。
齊藤さん:僕個人としては、風景を撮影するのがおすすめです。 遠景モードだと 3m以上離れた遠景もくっきり撮影できますし、ワイドフォーマットは通常のチェキプリント™の2倍のサイズなので、プリントしたときにリッチな感じがして、いつもとは違った雰囲気を楽しめると思います。
──チェキプリント™を部屋に飾っても映えそうですね。同梱の接写レンズを取り付ければ被写体に40cmまで近づいて接写できるので、お子さんやペットの撮影などにも活躍してくれそうです。
馬場さん:近年キャンプやアウトドアの裾野がグローバルで広がってきているので、WIDE 400が活躍するシーンも多いのではないかと思います。 山や海に持って行っていくのはもちろん、遠出じゃなくても、友人や家族ぐるみでのBBQなどに WIDE 400を使っていただくと、すごく特別感が出ると思います。ワイドフォーマットは人と背景のバランスも良いので、“その場の雰囲気”まで思い出に残せますよ。
──「“その場の雰囲気”まで思い出に残せる」、とてもすてきです。では最後に、WIDE 400のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
馬場さん:「WIDE 400があるから、どこかへ遠出してみようか」とか、「BBQで撮影したら楽しそうだからBBQしたくなってきた」とか、WIDE 400が何かの行動のきっかけになってくれたらうれしいです。 これからの夏休みシーズンでは、家族でも友人同士でも、さまざまなシーンで楽しめると思います。 インテリアにも馴染むので、リビングなどに置いておいていつでも手に取れる存在として、あらゆるシーンで活躍してほしいですね。
齊藤さん:これまでチェキ™に対して「かわいいイメージ」や「女性が使うもの」というイメージを持っていた方々が「こんなチェキ™もあるんだ」って興味を持ってくれたり、実際に手に取ってくれたりしたらうれしいです。 WIDE 400のギミックはガジェット好きな方々の遊び心を刺激するものばかりだと思いますし、「チェキ™はかわいいだけじゃないぞ」というのが伝わって、楽しんもらえたら良いなと思います。
photo by 高見 知香
text by 那須 凪瑳
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