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ミューラル(壁画)を撮影したチェキプリント

街全体をキャンバスに。instax™“チェキ”が広げるアート「FUJIFILM instax™ presents MURAL TOWN KONOHANA」

2023年9月から大阪市此花区で展開している「FUJIFILM instax™ presents MURAL TOWN KONOHANA」(以降、ミューラルタウンコノハナ) 。世界各地のアーティストが此花区を訪れ、ミューラル(壁画)で街を彩る国際的なミューラルプロジェクトです。本プロジェクトやミューラルの日本での広がり、またinstax™ “チェキ”とのコラボレーションについて、発起人の川添孝信さんにお聞きしました。

PROFILE

川添 孝信

ミューラルのプロデュースカンパニー「WALL SHARE inc.」CEO。大阪体育大学卒業後、フォルクスワーゲンの新車営業にて全国セールス販売賞を3度受賞。その後、クラウドワークスにて従事し、ベンチャーを共同創業。自身が10代の時から好きだったカルチャーのミューラルを日本に広めるべく2020年4月WALL SHARE inc.を設立。

HP X

ミューラルを背景に撮影したフォトインフォト

街と人がアートで繋がる。
ミューラルプロジェクト「ミューラルタウンコノハナ」

ミューラルとは日本語で「壁画」。ストリートアートの一種として世界的に広まり、単なる落書きではなく、街中の許可を得た壁面にダイナミックな作品を描いている点が特徴です。

建物に作品を描いている写真

XEVA/South Korea

そんなミューラルを日本でも広めるべく、2023年9月21日よりスタートしたのが「FUJIFILM instax™ presents MURAL TOWN KONOHANA」。WALL SHARE inc.とinstax™ “チェキ”がコラボレーションして取り組む、国際的なミューラルプロジェクトです。

目標は、2026年までに大阪市此花区の街中に30以上のミューラルを描くこと。街全体をキャンバスととらえ、誰もが気軽にアートに触れられるきっかけをつくり、大阪市此花区を世界に誇れるミューラルエリアとすることを目指しています。

様々なカラーのスプレー缶を背景に撮影したフォトインフォト

instax™ “チェキ”では、このプロジェクトにおいて国内外のアーティストの創作活動や、アーティストと街の人々の交流を支援しています。その場限りのアートから人々のコミュニケーションを生むミューラルは、撮ったその場でプリントして想いを伝えられるinstax™“チェキ”と通じる価値があると考えています。

30点以上のミューラルが集まる。
ミューラルタウンコノハナの現在地

プロジェクトがスタートしてから現在までに、此花区では16カ国のアーティストによる多彩な作品が展開されています。30以上ある作品のうち、いくつかをここでご紹介します。

銭湯の壁面に描かれた東京の夜景をモチーフにした作品

Dan Kitchener / London

記念すべき第1作目は、2022年末に公開されたロンドンのアーティスト・Dan Kitchenerによる作品です。これはプロジェクトの先駆けとして制作をした作品。銭湯の壁面に描かれたこの作品は、東京の夜景をモチーフにしています。

作品を左斜め前方から撮影した写真

「彼は日本が大好きで、東京マラソンも何回か走ったことがあります。やっと日本で大きな作品を描けたという喜びを表現してくれました」と川添さん。驚くほど早く、ほぼ1日でこの作品を描き上げたそうです。

ジオラマをテーマにした現在此花区で1番大きな作品

CLOAK / Malaysia

現在此花区で1番大きな作品はマレーシアのCLOAKのミューラル。ジオラマをテーマにした遊び心あふれる作品です。

作品の上部に描かれているキャラクターを拡大して撮影した写真

川添さんは「キャラクターがピンセットでジオラマを作っているシーンで、下に停まっている車もミニカー、絵を観に来た私たちもフィギュアという世界観です。ミューラルならではの街を巻き込む表現ですね」と紹介します。

三角屋根をいかしてキャラクターを描いた作品

Fork / Russia

独特の制作プロセスで作られているのがロシアのアーティスト・Forkの作品。建物の屋根をいかし、立体的に見えるミューラルを作り上げています。その制作過程について、川添さんは次のように語ります。

立体的なミューラルを背景に撮影したフォトインフォト

「彼は下書きを粘土で作るんです。実際に粘土のキャラクターを作って、それを壁に移していく。粘土の指紋も絵に映っていて、立体的に見えるように工夫されています」

写実的な作風で鹿を描いた作品

JackLack / Germany

ポップで、壁面いっぱいに広がるカラフルな作品が目立つなか、余白を生かした写実的な作風で目を引くのが、ドイツのアーティスト・JackLackの作品。

「海外の人にとって関西といえば鹿が有名。実際に奈良公園に行って写真を撮ってから描いてくれました」と川添さん。壁の素材を生かしながら、見る角度を考慮して制作されています。

作品と高所作業用のリフトを撮影した写真

目指すのは“アート的な出来事が起き続ける”場所づくり。
WALL SHARE inc.代表・川添孝信さんにインタビュー

先に紹介した作品のほかにも、此花区ではすでに多くの作品が公開されているほか、プロジェクトの期間中、どんどんと作品が増えていく予定です。このプロジェクトの発起人である川添孝信さんに、プロジェクトに込める思いや今後の展望をうかがいました。

──川添さんがミューラルに関心を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけは、日本語のラップ、ヒップホップを聞くようになったことです。ヒップホップと強い結びつきがあるグラフィティというカルチャーがあることを知り、そこから合法的に壁に絵を描くミューラルを知りました。

建物に作品を描いている様子を撮影した写真

──川添さんが思う、ミューラルの魅力について教えてください。

まず分かりやすいのは、単純ですが、大きくてすごいものは目につくということです。私も街に急に現れる大きな作品に衝撃を受けて、どっぷりハマっていきました。日本は特に、日常的に美術館に行く人はまだまだ少ないし、絵の購入をしたことがない人も多いと思います。だからこそ、まずはアートに触れるきっかけが必要です。ミューラルなら街を歩いているだけで、よくも悪くも強制的にアートに触れるきっかけを届けられます。日常的に目に触れられる分、気軽に「好きだ」「嫌いだ」などとアートに対して意見が言える点も、アートへの敷居を下げるという意味で良いところだと思います。

作品の前を通る子どもたちの写真

Zosen,Mina Hamada,LURK / Spain,Japan

また、アーティストが絵を描いている現場に出会ったことがある人はすごく少ないと思うんです。だからこそ作品が生み出される瞬間に立ち会えること自体が、大きな醍醐味だと感じます。この街ではアーティストが作品制作をしている時に、毎日差し入れを持ってくる近隣の住人さんがいたり、子どもがしゃべりかけたりしている風景も日常になりつつあります。アーティストの表現プロセスに立ち会えるのはおもしろい点です。

作品を描いている様子を背景に撮影したフォトインフォト

──日本ではアートに日常的に触れる人が少ないといったお話もありましたが、これまで海外と比べて、日本でミューラルが広がりにくかった要因はどこにあると思いますか?

アート市場は世界で約9兆円規模と言われていますが、日本はそのわずか3%にとどまっています。そのなかでのミューラルなので、もっと小さな市場になってしまい、なかなか厳しい状況にあります。

飲食街の壁面に描かれた作品

また、日本社会には新しいことへの挑戦や変わることへの懸念、大胆な表現を避ける傾向もあります。ストリートカルチャーを「落書き」として否定的に捉える見方も依然として強く、ミューラルの普及を阻む背景になっています。

──そんななかで、ミューラルタウンコノハナはどのように始まったのでしょうか?

日本にミューラルが自由に描ける場所は少なかったので、そういう場所を作りたくて、このプロジェクトを立ち上げました。私自身が此花区に住んでいるということもあり、まずはここからプロジェクトを始めたいと考えました。街にミューラルをたくさん描いていくには、壁のオーナー、アーティスト、そして街とのコミュニケーションを取るキーマン——この3者の存在が不可欠です。自分が住んでいる街だからこそ、コミュニケーションを取りやすいこともあり、まずは実証実験的にスタートしました。

はしごに乗って建物に作品を描いている写真

Debza / France

世界中の多くのミューラルアーティストが日本の文化から影響を受けていると語っています。一方で、日本でミューラルを描きたいけれど許可を取るのが難しいという共通認識も持っていました。そんなときに頼ってもらえる存在になりたいと考えてきました。このプロジェクトの始動以降、「WALL SHAREに連絡すれば日本でも描けるらしい」という情報が広まって、今では海外アーティストからの問い合わせが止まらない状態になっています。

スプレー缶を背景に撮影したフォトインフォト

──壁の選定も重要かと思いますが、どのように壁の許可を取られているのですか?

私たちなりの「いい壁」の定義があって、窓がなくて、できる限り大きな壁で、視認性の高い壁を選んでいます。日頃から壁を探し、いい壁があれば直接オーナーさんにドアノックして、交渉します。

今では此花区の街の人から「この壁もいいよ」という声をかけてもらったり、ある壁のオーナーが別の壁のオーナーを紹介してくれたりと、日本にはなかなかない「壁を貸す」動きが此花区で起きています。

千原淳さんの作品

JunChihara/Spain

──instax™ “チェキ”との取り組みのきっかけは?

プロジェクトにおいて、最も重要なことは継続性を保つことだと考えていました。単発で終わってしまう企画もあるなか、文化が根付くためには長く続けることが大切です。しかし、続けていくにはいろいろな面でコストがかかります。そのため、スポンサーについてくださる企業を探していました。

様々なカラーのスプレー缶とチェキを撮影した写真

そんななかで、富士フイルムと出会い、支援いただくことになりました。此花区でのプロジェクトに可能性を感じてくださり、スポンサーでありながら絵の内容の指定や、宣伝要素の指定などの制約もありません。その自由度の高い支援はありがたいですし、とても意義深いことだと感じています。

──ミューラルとinstax™ “チェキ”の親和性についてはいかがですか?

ミューラルに関わる、あらゆる場面で活用しています。制作シーンも撮りますし、完成後の様子はもちろん、ミューラルの前で通行人の方たちを撮るときにも使っています。その場にしかない唯一無二感や、自然とコミュニケーションが生まれる点に親和性を感じています。あとはスプレー缶のフォルムも結構かっこよかったりするので、それをチェキ™で撮ってもかっこいいです。

制作シーンや完成後の様子などを撮影したチェキプリント

──川添さんご自身は普段チェキ™で撮影されますか?

ヘビーユーザーです。ミューラルの撮影もそうですし、家族で遊びに行くときや友だちと遊ぶときにも持参しています。6歳の息子と3歳の娘がいるのですが、子どもの撮影には必ず持っていくようにしています。その場でプリントできるのを魔法みたいに喜んでくれるので、いろんなシーンでプレゼントしています。

チェキ本体やカラースプレー、チェキプリントなどを撮影した写真

──これまでミューラルを広める活動をされてきて、日本での状況に感じた変化はありますか?

WALL SHAREとしては今6年目で、200作品を超える壁に絵を描かせてもらっています。アートに触れるという点では、絶対的に数は増えてきていますし、会社目線では年々問い合わせが増加し、新たに挑戦したいという企業も増えてきているので、プレーヤーが増えてきていると感じています。

足場の上で建物に作品を描いている写真

ミューラルタウンコノハナでは、2026年までに30以上の作品を描く目標でしたが、ありがたいことに2025年9月末頃には約32作品になる予定です。このままのペースで続けば、2026年中には50作品ぐらいになるのではないかと思います。

複数の動物が描かれた作品

Lugosis/italy

──プロジェクトのゴールや今後の目標について聞かせてください。

此花区が日本におけるミューラルの聖地になり、認知が広まってアーティストが活躍し続けることができ、アートに触れる人が増え続けていったらいいなと思います。単発的な思い出ではなく、この場所に描き続けることによって、アート的な出来事が起き続ける状況を目指したいです。

様々なカラーのスプレー缶を背景に撮影したフォトインフォト

また、2025年9月21日(日)〜9月26日(金)の間、ブラジル、アメリカ、スペイン、カンボジアのアーティスト5組が一斉に来日し、ミューラルを描きます。9月27日(土)には、これらの作品の完成に合わせて、アートと地域を繋げるお祭り「えのえん祭」を此花区の四貫島住吉神社で初開催するので、この機会にぜひ此花区を訪れてみてください。

街全体をキャンバスに、instax™ “チェキ”とともに紡がれるミューラルタウンコノハナの物語は、これからも続いていきます。


instax、チェキ、チェキプリントは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。

※ チェキプリント™はイメージです。

text by 白鳥 菜都
(写真提供: WALL SHARE inc. )