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Evo Cinema™やチェキプリントを持っている商品企画担当の嶋さん、プロダクトデザイン担当の髙橋さん、UIデザイン担当の末廣さんの写真

チェキ™で捉える動画×ジダイ。担当者に聞く、「instax mini Evo Cinema™」が描くインスタントカメラの未来図

“動画を手渡せる”インスタントカメラとして新たに登場した「instax mini Evo Cinema™」(以下、mini Evo Cinema)。動画撮影、静止画撮影、スマホプリンターが一つになった「3-in-1」カメラとして使える、画期的な1台です。さらに、10種類の時代をイメージしたエフェクト「ジダイヤル™」によって、Evoシリーズらしい没入感がさらに広がったカメラでもあります。

今回は商品企画担当の嶋さん、プロダクトデザイン担当の髙橋さん、UIデザイン担当の末廣さんにインタビュー。企画の背景から、デザインや開発の裏話をお聞きしました。

mini Evo Cinemaが目指した新しい「撮影体験への没入」

──まず、mini Evo Cinemaとはどんな製品でしょうか?

嶋さん一番の特徴は、動画を撮って、それをチェキプリント™にして、その場で手渡せるところです。いわば“動画を手渡せる”インスタントカメラですね。これまでのチェキ™は静止画のみ、もしくは静止画プラス音まででしたが、新たに動画が加わったのが今回の機種です。

さらに、今回搭載した「ジダイヤル™」で、いろんな時代をイメージしたエフェクトも楽しめます。もちろん静止画も撮れますし、ハイブリッドカメラなのでスマホプリンターにもなる。だから、動画・静止画・プリンターの「3-in-1」と呼んでいます。

担当者3名が座って話している写真

▲ 左:UIデザイン担当・末廣さん / 中央:商品企画担当・嶋さん / 右:プロダクトデザイン担当・髙橋さん

──機能も見た目もこれまでと異なる部分が多い機種ですが、「mini Evo Cinema」はどんな背景で企画されましたか。

嶋さん最初は、Evoシリーズの新製品を作ろうというところからスタートしました。Evoシリーズは「撮って、チェキプリント™にする」だけではなく、撮っている間や撮った後まで含めた“撮影体験への没入”をテーマとして持っています。そんななかで次に何をやっていくかを考えたとき、撮影体験の広がりという意味で、動画が良いのではないかとなりました。

髙橋さん静止画は一瞬を切り取って、そこから前後の記憶を思い起こさせるようなメディアですよね。でも、そういう記憶を“全体として持ち運べる”ようにできないかと考え、動画という発想に行き着きました。とはいえ、これまでのinstax™は静止画だったので、試行錯誤しながら「instax™で動画を残せるかも」という話に辿り着いた感覚です。

さまざまなデザインの製品が印刷された資料の写真

──企画の軸である動画は、最大15秒の撮影が可能だそうですね。なぜ15秒だったのでしょうか?

嶋さんユーザーヒアリングを行い、「普段どれくらいの長さの動画を撮っている?」と聞いたんです。すると、1分未満、数秒、数十秒という答えがすごく多かった。動画=長いというイメージを持ちがちですが、いざ自分が撮るとなるとみんな短いんですよね。

だから、むやみに長くするよりも、気を張らずに短いものをたくさん撮れる方が、実際のユーザーの撮影シーンや、instax™らしい動画の楽しみ方に合っているんじゃないかと考えました。

髙橋さんメンバー内でも、スマホに入っている動画フォルダを見返しました。すると、長い動画もあるにはあるけれど、見返すことはほとんどなくて眠っている。短い動画の方が見返したり、誰かに送ったりしていることがわかりました。

嶋さんと髙橋さんが話している写真

──たしかに短い動画の方が実生活の中で身近に感じます。そして、この動画をより特別にしてくれるのが「ジダイヤル™」ですよね。

嶋さん動画撮影という大きなテーマが決まった後、様々な動画を見てみたところ、時代ごとに撮影や視聴につかう機器の変遷が多く、動画を見るだけで「あの時代っぽいな」と感じることに気づきました。 たとえば白黒でノイズの多い映像を見ると、なんとなく時代が思い浮かびますよね。それで、さまざまな時代のイメージをエフェクトに落とし込んだのが「ジダイヤル™」です。

「Where am I?」と印字されたQRコード付きのチェキプリント

▲ 嶋さん:どこにいったでしょう?

髙橋さん同時に、カメラを使うハードルを下げる役割も担っている機能です。露出などの本格的な設定は、カメラに詳しい人には慣れ親しんだものである一方で、初めて使う人には難しく感じやすい。そこで、みんなの共通認識になりやすい「時代感」を軸にエフェクトにしてしまえば、知識がなくても直感的に楽しめるんじゃないか、と考えました。ファッションなどでも「〇〇年代っぽい」といった表現があるので、伝わりやすくなったかと思います。

嶋さんこだわりたい人に向けた余白も残しています。エフェクトはそれぞれ10段階で度合いが調整でき、合計100通りの表現ができます。それに、動画の中でも近づいたり離れたり、カメラを動かして画角を変えてみたりといった撮影技法でも表現が変わるので、楽しめる幅は大きいと思います。

さまざまなエフェクトで表現を変えた10枚のチェキプリント

──他にも機能面で、特に工夫したところや愛着のあるところはありますか?

末廣さん「ジダイヤル™」では映像に合わせて、動画に収録される音も時代ごとに変わるように工夫しました。映像が過去の時代を感じさせるものなのに、再生される音がすべて同じ質感だとどうしても「嘘っぽさ」が出てしまうんですよね。だから10時代のエフェクトすべてで音も加工しています。最初は「そこまでやるの?」と社内でも議論になったのですが、静止画にはないところですし、これによって大きくクオリティが上がったと思うので、やってよかったです。

髙橋さんデモ機でいろいろ試している時も、何によって印象が変わるのか分解して考えてみると、音も大きな要素だという話になりました。音が変わった瞬間、グッと没入感が上がるんです。

「Day Trip Diary」と印字されたQRコード付きのチェキプリント

▲ 末廣さん:歴史ある鎌倉の町をいろんな時代で撮ってみました。

末廣さん各時代の機器で撮った動画を見たり、当時のマイク性能を調べたりして、サウンドデザイナーに分析してもらいながら音を作っていきました。収録音だけでなく、シャッター音も時代ごとに変えていて、こだわりポイントです。

嶋さん音も映像もそうなのですが、再現度の塩梅も工夫した点です。「時代感」って人々の記憶にあるイメージも含まれると思うんですよね。だから、シンプルにその時代ごとに使っている機器と同じ映像・音にするのではなくて、みんなの頭にあるものをイメージとして再現することにこだわりました。

それから、「ジダイヤル™」という名前も、instax™っぽいところかなと思います。最初は通称名として髙橋さんが使っていたんですよね。

QRコード付きのチェキプリント

▲ 髙橋さん:週末の展示巡り

髙橋さん今までにない機能なので、まずは社内でもみんなの頭に残るようなキャッチーな呼び方で浸透させようと思って……。何気なく資料にも「ジダイヤル™」と書いていたら、だんだんみんなもそう呼ぶようになっていきました。あるとき開発担当の方から、「ジダイヤル™が……」と電話がかかってきて、もしかして本当にこのネーミングのままいくのかなと心配になってきました(笑)。

嶋さんでも、結果的にこの名前でよかったと思いますよ。製品自体のクオリティがすごく上がったので、そのなかであえてポップでキャッチーな名前の機能があるのがいい。「遊び心があるのに、ちゃんと撮れる!」というおもしろさが、instax™ならではじゃないでしょうか。

「動画が撮れそう!」と直感的にわかる。持ちたくなるカメラのデザイン

──本体のデザインについてもお聞かせください。これまでのチェキ™と大きく変わったデザインなので、驚いた人も多いかと思います。

髙橋さんそうですね。インパクトのあるものを作りたいなと、もともと思っていました。動画という切り口から考えた時に、8ミリカメラからインスピレーションを得て、縦型はどうだろうと。相当数のデザイン案を考えましたが、やっぱり縦型がキャッチーだったのでこのスタイルを採用することになりました。

複数の製品サンプルが並んでいる写真

嶋さんユーザーに最初のデザインヒアリングをした際に、わざと何も言わずにモックを見せたんです。でも「これで何ができそうですか?」と聞くと、多くの人が「動画撮れそう!」と反応をくれて。直感的にも動画撮影ができるカメラに見える、ということだと思います。

髙橋さん実際、操作としても動画を撮る時って片手で撮れた方が小回りが利いていいんですよ。動くものを瞬間的に撮りたい時にパッと撮れるという意味でも、縦型が向いている。とはいえ、これまでのinstax™製品と全然違うので完成形に至るまでの難易度は高かったです。実現できてうれしく思います。

製品を手に持っている髙橋さんの写真

末廣さん難しかった点はいろいろありますが、UIチームとしては特に液晶の小ささに苦戦しました。小さい液晶でも操作できて、きちんとエフェクトを視認できるバランスにするのが大変でした。でも、これまでにない「縦型スタイルで撮る体験」を大切にしたくて、この小さな液晶内で、どうすれば全ての操作が成り立つか、試行錯誤して仕上げました。

嶋さん僕は、企画の最初から一貫して、「気軽に撮れること」を大切にしたいと伝えていました。だから、インパクトのあるデザインながらもシンプルに操作できるようにしています。例えばシャッターボタンは、持った時に直感的に触りやすい位置にあって、押して離すだけで動画が撮れるようになっています。

担当者3名が製品やチェキプリントを手に取っている写真

──本体に加えて、アタッチメントや、カメラケースも特徴的です。

嶋さんファインダーアタッチメントの展開も今までのinstax™製品にはなかった試みですね。ファインダーをのぞきこむ没入感のある撮影を楽しんでほしいと思い、何か工夫できないかと企画しました。機能的にも必要だったのですが、個人的には「撮影している人のスタイルまで含めて楽しめる」ことも魅力だと思います。このアタッチメントを付けると「撮ってる」感が一気に出るんですよ。スマホで撮るのとは違う感覚で楽しんでいただけると思います。

髙橋さんケースも上質感を感じられるように素材選びからこだわっています。自ら手で縫って試作したりもしました。一番工夫したのは、カメラをケースに繋いだまま撮影できるようにした設計です。嶋さんからの話にもあったように「気軽に撮れる」ことを大事にしたかったので、サッと肩にかけて持ち歩けるようなケースにしています。

カメラとケースを肩にかけている写真

──本体での撮影体験だけではなく、アプリにおいてもmini Evo Cinemaならではのこだわりはありますか?

末廣さん本体で撮れるのが最長15秒で、短いと感じる人もきっといるだろうと思っていました。そこで、アプリでは編集して30秒までの動画が作れるようにしました。また、アプリを使いたくなるようなオープニング・エンディングのテンプレートを追加できる機能も入れました。この製品は割と早い段階から「Cinema」という通称が使われていたので、その点も意識して、映画っぽい編集ができるようになっています。

本体で撮れる秒数が短かったり、液晶が小さかったりといった点も、アプリと組み合わせることでより自由度が広がるような設計を意識しています。「おまけのアプリ」ではなくて「主役にもなれるアプリ」にできたのではないでしょうか。

アプリを開いたスマホの画面

髙橋さん本体でできることと、スマホでできることをとてもきれいに整理してくれて、うまく棲み分けられたアプリになったと思います。

嶋さん細かいですが、アプリでQRコードのデザインをテンプレートに合わせて変えられるのもいいですよね。チェキプリント™にした時に、ここの色がきれいに馴染んでいるとグッと印象が良くなると思いました。

QRコードのデザインが異なる2枚のチェキプリント

──最後に、mini Evo Cinemaを使うユーザーの方へメッセージをお願いします。

嶋さん肩肘張らずに、手軽に使ってほしいです。こだわろうと思えばこだわれるし、かんたんにも撮れる。使う人によって、楽しみ方がいくらでも広げられるカメラなので、いろいろな場面で試してみてほしいです。

髙橋さん願わくば、ずっとバッグに入れて持ち歩いてもらえたらうれしいですね。 スマホで撮るのとは違う、「カメラを構える面白さ」や「物理的にプリントを手渡す楽しさ」があると思います。手紙に入れて一緒に送ってみたり、冷蔵庫に貼ってみたり、使い方を自由に考えてもらえたらうれしいです。

末廣さん自分だけで楽しむのはもちろん、すてきな動画が撮れたらぜひSNSにアップしてほしいです。みんなに見てもらいたくなるような動画を撮って、たくさんの方に楽しんでいただけたらうれしいです。

Evo Cinema™やチェキプリントを持っている嶋さん、髙橋さん、末廣さんの写真

mini Evo Cinemaは、撮る時間そのものを特別にしてくれる仕掛けが詰まった1台です。いつものスマホで撮るのとは一味違った撮影体験をしてみたい方は、ぜひ手に取ってみてください。Cheki Pressでは、他にもmini Evo Cinemaの魅力をお伝えするコンテンツを掲載しているので、そちらも覗いてみてください。


instax、チェキ、チェキプリント、instax mini Evo Cinema、instax mini Evo、および ジダイヤルは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。

※ QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

※ チェキプリント™はイメージです。

photo by 高見 知香
text by 白鳥 菜都