フォトグラファー・小林真梨子が語る「写真」と「対話」の関係/ “チェキ” instax mini Evo インタビュー
独自の感性とクリエイションで人々の心を揺さぶる表現者の“視線”に迫る連載企画『見せてよ、きみが見てる世界。』がスタート。2021年12月3日登場の、チェキシリーズ新製品「“チェキ” instax mini Evo(以降、Evo)」を使ってゲスト自身が撮り下ろしたチェキプリントと共に、感情を伝える方法や、表現に対するこだわりを伺います。
第二弾はフォトグラファーの小林真梨子さんが登場。被写体との距離を感じさせない魅力的な人物写真を手がけ、広告や雑誌などに作品提供を行う小林さん。写真に対する想いや撮影の際に心がけていることなど、幅広く話してもらいました。
PROFILE
小林真梨子
1993年、東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。大学入学をきっかけに写真を始め、「楽しいこと」を追求しながら写真を撮っている。2017年には初の写真集『ふれる、ゆれる。』を出版。2021年8月には密をテーマに個展を開催。
構図よりコミュニケーション。魅力的な表情を切り取るための写真論
「大学受験の頃、高校の先生に『写真をやってみたら?』と言われたんです。それまではフォトグラファーの道を考えたこともなかったので、なんでだろう?と不思議で。けれども、写真について学べる大学に進学して課題をこなしていくうちに、どんどん人物写真にのめり込んでいきました。ちょっとしたきっかけで人の表情や雰囲気が変わるのが面白かったんです」
その日会ったばかりの人でも友人同士のようにリラックスしていたり、本人でも気づかないようなふとした瞬間の顔が美しかったり。小林さんの写真に共通しているのは、被写体の表情に引き込まれること。そこには小林さんの“写真愛”と“人間愛”が感じられます。小林さんが普段の撮影時に意識していることを教えてもらいました。
「お互いが楽しいと感じていれば、必ずいい写真が撮れると信じています。だから、構図や空間的な演出より大切にしているのは、場の雰囲気作り。撮影のお仕事でも、『お疲れ様でした』ではなく『今日は楽しかったね』と言って解散できるのが理想だと思っています」
「昔からよくやっている撮影方法があるんです。Instagram上で被写体になってほしい人に声をかけるのですが、会ってもいきなり撮影するのではなく、まず朝ごはんやランチを食べる。プロフィール交換から始めて、年下だったら進路相談なども交えながら、親睦を深めます。名目上は撮影ですけど、やっていることはカウンセリングにも近いですね(笑)。写真を撮るのは解散の10分前くらい。でも、それくらいの時の顔がいいんですよ」
「過去の自分を俯瞰できる」。小林さんが語る写真の魅力
フォトグラファーになる以前からチェキを愛用していたという小林さん。その魅力は「一眼レフよりも肩肘張らずに使える」ところにあると話します。今回はEvoで撮影したたくさんの写真を持ってきてくれました。
「友達と遊んでいる瞬間や実家の愛犬、自宅の何気ない風景を撮影しました。Evoはレンズエフェクトとフィルムエフェクトをかけ合わせることで100種類の表現ができるのが面白いですね。エフェクトごとにぴったりなポーズを友達と考えたり、どのような仕上がりになるかを楽しみにしながらプリントしたりと、コミュニケーションツールとしても使えました」
「特にお気に入りなのは、2枚の画像を重ねられる『二重露光』のレンズエフェクト。今回は友達と、たくさんの花が咲いている茂みとを重ねてみました。組み合わせを考えるのが難しいエフェクトですが、その分、綺麗に仕上がったときは二人で盛り上がりましたね。もう一つは、ハーフカメラ風の写真が撮れる『ハーフフレーム』のレンズエフェクト。本物のハーフカメラもよく使っているのですが、よくSNSのコメントで『何のカメラで撮影しましたか?』と聞かれることが多くて。誰でも簡単にあの表現ができるのは画期的だと思います」
コミュニケーションをとるきっかけになるのがEvoの魅力。そんなユニークな視点には、被写体と楽しい時間を過ごすことを大事にする小林さんらしさが感じられます。続けて、写真そのものの魅力についても伺いました。
「写真を後から見返すと、撮ったときの自分が抱いていた喜怒哀楽を思い出せるんです。ただノスタルジーに浸れるだけでなく、過去の自分を俯瞰して見ることもできる。そういう作業を繰り返すことで、これからの自分をより一層よくできる気がするんです。『自分を振り返る』ためのツールって大事。写真に限らず、絵でも文章でも、人生でそういう存在に出会えるってありがたいことですよね。だから高校時代の先生には本当に感謝しています。先生、今でも私の個展を見にきてくれるんですよ」
text by 山梨 幸輝
photo by 中村 寛史
INFO / 取材協力:はぐくむ湖畔
住所 / 東京都世田谷区松原5-2-2 prendre ys 1F
東松原駅徒歩1分 羽根木公園徒歩3分
営業時間 / 11:30~18:00
[カフェ]11:30〜18:00
[ランチ]11:30〜14:30(LO14:00)
[コミュニティディナー(月一開催・予約制)]18:30〜20:00
定休日 / 水曜日
お問い合わせ / [mail]hello@hagukumukohan.com
[tel] 070-5579-3640
[web]https://hagukumukohan.com
【おすすめ記事】
この記事のキーワード
SHARE