奇妙礼太郎が語る「音」と「写真」の魔法 / “チェキ” instax mini Evo インタビュー
独自の感性とクリエイションで人々の心を揺さぶる表現者の“視線”に迫る連載企画「見せてよ、きみが見てる世界。」がスタート。12月に登場したチェキシリーズの新モデル「“チェキ” instax mini Evo(以降、Evo)」を使ってゲスト自身が撮り下ろしたチェキプリントと共に、感情を表現する方法や、表現に対するこだわりを伺います。
第三弾はミュージシャンの奇妙礼太郎さんが登場。温かくて力強い、一度聴いたら忘れられないその歌声は、数多くのCM楽曲でもお馴染みです。2021年にはミニアルバム『ハミングバード』やカバーソング集『song book #1』を発表するなど、精力的に活動を行う奇妙さん。作詞をする際に考えていることや、写真への想いなど幅広く話してもらいました。
PROFILE
奇妙礼太郎
大阪府出身。2008年より奇妙礼太郎トラベルスイング楽団として活動。バンド解散後、TENSAI BAND II(ex.天才バンド)・アニメーションズ等のバンドを経てソロアーティストとして活動。ボーカリストとして、サントリーBOSSゴールデンタイム『ザ・ドリフターズ篇』、スズキ自動車『ショコラ』(「オー・シャンゼリゼ」)等多数のCM歌唱も担当し話題となる。 2017年メジャーデビュー。同年1stアルバム「YOU ARE SEXY」、翌2018年2ndアルバム「More Music」リリース。 2021年6月9日にオリジナル作品としては3年ぶりとなるミニアルバム「ハミングバード」を、10月にはソロとして初となる弾き語りカヴァー・アルバム『song book #1』 をビクターエンタテインメントよりリリース。
「みんなの“心のピント”が重なる」。奇妙礼太郎さんが語る、ライブの魔法
「寝起きに弾き語りをスマホで録音することがあるんです。朝起きてすぐの時間帯は、頭の中で自然とメロディーが鳴ることがあって。せっかくだからその瞬間を形に残しておきたいなと。なぜ寝起き限定なのかというと、心身ともに一番元気な時間だからですね。元気がないと想像力が“ガソリン切れ”を起こしてしまう。だから普段制作するときも意識的にたくさん睡眠をとるようにしていて……って僕の睡眠事情を話しちゃって大丈夫ですか?(笑)」
時にはユーモアも交えながら、ゆっくりと紡ぐように制作のこだわりを話す奇妙さん。その楽曲の大きな魅力は、いつ聴いても心にすっと染み込んでくる優しい歌詞です。
「歌詞に使いたくない言葉があって。例えば、楽曲の主人公がどちらかの性別だと明言すると、そうじゃない人にとっては『自分の歌ではない』と距離を感じてしまいますよね。同じ理由で、年齢や国籍、身体的なことのように、コンプレックスの元になるような言葉を考えなしに入れるのは好きじゃない。聴く人を特定しない、というのは常に意識していることですね」
奇妙さんのもう一つの魅力は、エネルギッシュなライブ。時には鬼気迫るほど感情のこもった歌声や、展開が予測できないユニークなアドリブ演奏は、一度観たら虜になるはず。そんな圧巻のライブを行うにあたり、意識していることを伺いました。
「お客さんが『いい時間だったな』と思ってくれて、感想を人に喋りたくなったり、楽しい気持ちで帰ってくれればそれでいい。意識していることはそれくらいですね」
「ライブをしていると不思議な瞬間があるんです。うまく言い表せないですが、それは、会場にいる人全員の“心のピント”がぴったり重なるような時。技術によって狙って起こせないし、毎回その瞬間があるわけではないんです。ただ、ライブをしていて僕が喜びを感じるのはそんな時。いいですよね、音楽って。ただの空気の振動でしかないのに、そこには心動かされるような何かが確かにあるんです」
「押したら写るのが好き」。奇妙礼太郎さんのピュアな写真愛
旅先や日常の何気ない風景など、たくさんの写真を自身のSNSに投稿している奇妙さん。2020年にカメラを買ったのをきっかけに、写真にのめり込みはじめたといいます。
「初めはライブの記録用として必要に迫られて買ったのですが、使っていくうちに楽しくなってきて。なにより、シャッターボタンを押したら写るっていうシンプルな仕組みが好きです。フィルムカメラの場合は現像に出しに行く必要がありますけど、その手間も愛おしい。カメラというモノ、そのものに愛着が生まれたんだと思います」
「人が撮った写真を見るのも好きですね。特にお気に入りは、写真家の瀧本幹也さんが撮った一枚。屋内にあるプールで子供が遊んでいる写真です。後ろにある窓ガラスに目をやると、その向こうにピラミッドがあって、初めてエジプトで撮られたものだと分かる。『プール』と『エジプト』という全く結びつかないものが一つの写真に同居している違和感が面白くて、ずっと眺めてしまいますね」
“チェキ”のスマートフォン用プリンターを持っているほか、「チェキシリーズのカメラを近々買おうと思っていた」とも話す奇妙さん。「レンズエフェクト」と「フィルムエフェクト」をかけ合わせることで100通りの表現ができるEvoにも興味津々でした。
「すごい数の組み合わせですよね。全部試したくなって、この企画用にEvoをいただいてから200枚以上の写真を取りました。特に面白かったのは二枚の画像を重ねられる『二重露光』というレンズエフェクトですね。僕が所属しているレーベルの社長を撮ったらシュールな写真ができあがりました(笑)。みんなでプリントされた写真を見て、ワイワイ盛り上がりましたね」
「瀧本さんみたいな考え抜かれた写真も憧れますが、僕は直感的にシャッターを切っています。よく撮りたくなるのは夕方から夜にかけての時間帯。ゴミ箱すら綺麗に照らしてくれる夕日が好きなんですよね。あと、これからEvoで写真を撮ってみたい人もいますよ。それは友達の子供。カメラ本体からチェキプリントが出てくるのって、子供が見たら面白がってくれそうじゃないですか。そういうところを収めて形にしたいなと。やっぱり、喜んでいる人を見ると嬉しくなるんですよね」
text by 山梨 幸輝
photo by 大石 隼土
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