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スマホ時代に新たな“撮影価値”を生むINSTAX Pal™。担当デザイナーに聞く、「手のひらサイズカメラ」が誕生するまで

2023年10月に新登場した「INSTAX Pal™(パル)」*1は、これまでのINSTAXシリーズに新たな風を吹かせるINSTAXカメラ。最大の特徴は、目を引くコンパクトなサイズ感です。

今回は、INSTAX Palのデザイン担当・富士フイルムプロダクトデザイングループの今村響さんに製作までの道のりをインタビュー。「手のひらサイズカメラ」ができあがるまでの過程には、物心ついたときからスマホが身近な存在だった、今村さんだからこそのアイデアがぎっしり詰まっていました。

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「初めに決まっていたのは、“INSTAXのプリント機能を持たないカメラを作る”ということ」

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──INSTAX Palの開発は、2021年5月にはすでに始まっていたそうですね。製品開発はどのようなアイデアからスタートしたのでしょうか。

僕が商品企画チームに参加した段階で決まっていたのは「INSTAXのプリント機能を持たないカメラを作る」ということだけでした。本体にプリント機能を持たせないことでサイズを小さくできるので、より持ち運びしやすくなる。それによって、撮影シーンが広がるというアイデアです。

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▲photo「チェキの使い方講座!「INSTAX Pal ™」の使い方をマスターしよう!

──INSTAX Palの最大の特徴でもある“手のひらサイズ”は初めから決まっていたのでしょうか。

いえ、何度も話し合いを重ねました。実は、今の丸い形に辿り着くまでにもいろいろなアイデアがあって。「紐みたいな形にして手に巻き付けて撮影できたら面白いんじゃない?」とか、「それぞれのパーツをブロックにして、組み立てて遊びながら撮影できるのは?」といった斬新なアイデアも出ました。

でも検討していく中で、「ユーザーと共生する」というデザインコンセプトと、「生き物のような愛らしい外観デザイン」のアイデアが生まれて。イメージを描いて提案したところ、企画担当の方々にも共感していただけました。そこから、“愛着を持っていつでも持ち歩いてもらえる相棒のような存在”という軸が生まれたんです。

──丸い形がかわいくて愛着が湧きますよね。

ありがとうございます。実は、この形にたどり着くまでにも何度も試行錯誤を重ねたんです。いかに「おもちゃっぽくならずに、キャラクター感を出せるか」にトライしました。キャラクターっぽさと、INSTAXカメラらしさを両立するのにとても苦労しましたね。

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▲完成形に辿り着くまでに検討したデザインたち。
INSTAXらしさとキャラクターっぽさの両立に苦労したそう

サイズ感については小型化を目指しながらも、モノとしての魅力や所有している充実感が感じられるようにプロトタイプでの検証を繰り返して今のサイズに辿り着きました。

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▲サイズを決めるときに作った模型たち

鳴き声、鼓動、しっぽ。“生き物っぽさ”の理由は細部に宿る

──INSTAX Palは起動音が鳴き声っぽかったり、アプリを起動すると画面上のINSTAX Palが動いたりと、本当に生きているような印象を受けますね。

そうですね。起動音はINSTAX Palが「まばたきして起きるとき」をイメージしていて、電源を消るときの音は「ぷにゅっと押しつぶされて、そのまま潰れちゃう」イメージの音です。かわいいので、ぜひ意味もなくオン・オフしてみてほしいですね(笑)。

──(笑)。ほかに“生き物っぽさ”を出すためにこだわった点はありますか?

実はまだまだあります。例えば、使用中に光るLEDは一定の明るさではなく、明るくなったり暗くなったりを繰り返すようにしていて。これは、INSTAX Palの鼓動をイメージしています。社内では“呼吸”と呼んで親しんでいました。

──すごい。気づきませんでした。

ほかにもバックサイドのストラップを付ける部分を少しだけ凸形にすることで“しっぽ感”を出していたり、多機能リングを本体上部に装着すると大きく口を開けたキャラクターっぽくなったりと、細部にまでこだわっています。

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また、レンズは「目」っぽくしているのですが、これまでのINSTAXらしさを残しつつキャラクター感を出すのに苦労しました。フォルムや膨らみ具合にかなりこだわりましたね。

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▲完成形までに作った模型

「新たなINSTAXカメラの幕開け」を告げるカラーラインアップ

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──カラーラインアップには、これまでのINSTAXカメラらしいパステルカラーに、光沢感のあるジェムブラックが追加されましたね。この5色はどのように決まったのでしょうか?

INSTAX PalはINSTAX史上初となる試みが詰まった製品なので、リリース時のインパクトを強くしたくて。ユーザーが持ち歩きやすく、かつ新しさを感じる色を数多く検討した結果、「ジェムブラック」が追加されました。色を絞る段階では、社内の若年層の方々に投票もしていただきました。

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▲試作で作ったさまざまなカラーの模型。本体上部をスケルトンにすることで
「おもちゃっぽさ」を解消したとのこと

1998年に発売された初代“チェキ”「INSTAX mini 10」を彷彿させる“わかる人にはわかる”色や、Y2Kやシティー・ポップを意識したスケルトンやラメっぽく光る色など、たくさんのモックアップを作り検討しました。本体上部に入れている「instax」のロゴの位置や色も、試行錯誤を繰り返して今の形に辿り着きましたね。

撮影の楽しさってなんだっけ?「“スマホもいいけど、別のもので撮ってみても楽しいかもよ”って」

──今村さんは物心ついたときにはすでにスマホが身近な存在だった世代だと思います。入社前はINSTAXシリーズにどんな印象を持っていましたか?

「かわいいカメラ」「写真をその場でプリントできる」という良い印象と同時に、サイズ感の点では「僕が普段持ち歩くにはちょっと大きくて目立つかも」というハードルの高さも感じていました。

──なるほど。一方で、INSTAX Palは今村さんと同年代の若年層の方々にも使ってほしいとの思いが込められているそうですが、特にどのような点にこだわりましたか?

「スマホをうまく味方につける」点です。INSTAX PalはBluetoothで接続すればスマホと連動して使用でき、スマホの画面で画像を確認しながら撮影できます。また、撮影した画像をすぐにスマホで確認できたり、フィルターやステッカーを使うことができたりと、“スマホ慣れ”している世代が生活に取り入れやすくしました。

あとなんと言っても、スマホで日常を撮影することが当たり前になっている方々に「新しい撮影体験を楽しんでもらいたい」というのが根底にあります。

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──「ちっちゃなパルで撮りまくろう。」という製品コピーも印象的ですね。

そうですね。製品コピーは販促担当の方が決めてくださったのですが、デザインチーム・UIチーム・パッケージ担当のチームなど、全員でイメージを共有して、あらゆる角度から「常に一緒にいられて、楽しい撮影体験ができるカメラ」を体現しました。

──「楽しい撮影体験」では、どんな点にこだわったのでしょうか。

例えば、シャッター音を変えられるところです。フォトグラファーの方って、撮影するときに被写体の方に声をかけて笑わせたりしますよね。INSTAX Palもシャッター音を変えられることで、「製品が被写体の表情を豊かにする」ことができるんじゃないかと。ちなみに、サウンドを5つ登録してランダムに流して撮影すると、まるで本当にINSTAX Palの中に誰かがいて喋りながら撮影しているみたいになるので、ぜひ試してみてほしいです。

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──楽しそうですね。

あとINSTAX Palは新機種で生まれたばかりなので、拡張性があると思っていて。実は本体底面には三脚穴が開いているのですが、例えばまったく関係ないフィギュアをくっつけて、一つのキャラクターを作ってみちゃうとかおもしろいかも(笑)。SNSを見ていても、ユーザーのみなさんが独自の使い方や楽しみ方を見つけてくれていてうれしいです。ぜひ、いろいろ試してINSTAX Palとの“共生”を楽しんでほしいですね。

──最後に、ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

INSTAX Palは、キャンプや旅行など荷物を減らしたいシーンでも持ち運びやすく、片手で撮れるので使いやすいですし、「うまく撮れているかわからないワクワク感」や「シャッター音のユニークさ」などで盛り上がれるので、大人数で集まる機会にもおすすめです。もちろん、インスタントカメラのように街歩きや日常で使用するのも楽しいと思います。

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▲今村さんが出張先のオランダでINSTAX Palを使って撮影したもの

あと、意外に自撮りにも向いていて。スマホと連動しない限り自分の顔を確認できないので、普段なら撮れないような自然な表情の自撮りができます。僕も試してみたのですが、画面で確認できるとシャッターを押すタイミングに迷いますが、INSTAX Palならパシャパシャ気軽に撮れるので、良い表情をつくれるんです。広角レンズで基本的に収まりきらないこともないので、ぜひ試してみてほしいですね。

そしてなによりも、製品コピーにあるようにINSTAX Palを使って写真をたくさん撮ってくれたらうれしいです。スマホで撮るのもいいけど、ちょっと別のもので撮ってみても楽しいかもよって伝えたいです。

photo by 高見知香
text by 那須凪瑳

*1 INSTAX、チェキ、INSTAX Pal、INSTAX Link、INSTAX mini EvoおよびINSTAX mini LiPlayは富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。

※Bluetooth®のワードマークおよびロゴは、Bluetooth SIG, Inc. が所有する登録商標であり、
富士フイルム株式会社はこれらのマークをライセンスに基づいて使用しています。

今回使用したチェキ

“チェキ” INSTAX Pal

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詳細はこちら 公式ショッピングサイト

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