
3人のフォトグラファーが語る、フィルムの魅力とプリントで残すこと #1
Interview:長田果純さん
とにかく死ぬまで写真を撮り続けることがしたい
──いつ、どんなきっかけで写真を撮るようになりましたか?
中学生の頃、学校に行けなくなって家に引きこもっていた時、たまたま観た映画の主人公がフィルムカメラを使っているのを見て、「写真には撮る側の人がいる」「表現として写真を撮っている人がいる」と再認識しました。その後フィルムカメラを物置小屋から発見し、写真を撮り始めました。時間はとにかくあったのでひたすら撮り、誰にも見せずにアルバムに入れて自分だけで楽しんでいました。
──今回はどんなテーマで撮影をしましたか? なぜそのテーマを選んだか理由も教えてください。
日常感が出過ぎないものを撮りたいと意識しつつ、チェキで撮影する楽さ、早さ、質感を活かせればと思いました。光の入る場所で、ちょっと気だるくて眠い感じで……とラフに決めました。
──今回撮影した作品のなかでお気に入りの1枚はどれですか? また撮影時のエピソードなどがあれば教えてください。
早朝に集合して、モーニングを食べてから20分くらいの短い間で、「チェキって真ん中に被写体写すのが難しいよね」と他愛もない話をしつつ撮影。友達ならではの距離感と、気怠い雰囲気がそのまま写っていれば。屋上で寝転がっている1枚は本人が一番気に入っていたので、私もその1枚が好きです。
── “撮る”という行為にはどんな意味がありますか? 写真で何を残したい(あるいは表現したい)と思っていますか?
表現方法の一つというよりは自分を生かしているそのものなので、これを残したい、これを伝えたいというより、とにかく死ぬまで写真を撮り続けることがしたいです。
──フィルムの魅力、また、プリントして残すことの価値は何ですか?
その場の光や空気、感情までも、全てをとじこめることが出来るところ。フィルムで撮るという行為、手間や時間も含めて、自分に合っていて肌馴染みが良い。
写真が手元に残る、紙になる、形になる。よく聞く言葉ですが、一瞬が永遠になることこそ、プリントの価値だと思います。SNSや画面上とは違って、流れたり消えたりすることはないので。
──今回、「“チェキワイド” instax WIDE 300(以降、WIDE300)」を使ってみた感想はいかがでしたか?
35mmカメラと同じような感覚で撮影しました。通常のチェキ2枚分の大きさがあるので、プリントサイズが大きく、フラッシュの有無を選べるのは特にありがたい機能だと思いました。
PROFILE
長田果純

静岡県出身。14歳の頃から独学で写真を撮り始める。現在はファッションのポートレート、アーティスト写真、映画のスチールなどで活躍中。プライベートでは自身の感覚を軸に写真を撮り続けている。彼女を通して切り取られる写真は、その場の空気を含み、ストーリーを想像させる。過去に開催した個展には「透明になることは二度とない」「いまは夜のつづき」などがあり、ゆっくりとしたペースで作品の発表を続けている。
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