チェキ×ミュージシャン・にしな。シャッターを切るように生み出す、不思議な音の世界
日常のワンシーンや心象風景をリアルに切り取った歌詞と、一瞬で人を虜にする天性の歌声が魅力のミュージシャン・にしな さん。日頃からチェキやフィルムカメラを持ち歩く写真好きとしても知られています。今回はそんなにしな さんに、音楽や写真における自己表現について幅広くインタビュー。また、クラシックなデザインが特徴の「“チェキ” instax mini 40(以降、mini 40)」を使った感想についても伺いました。
PROFILE
にしな
新時代、天性の歌声と共に現れた新星、「にしな」。
やさしくも儚く、中毒性のある声。どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。
穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。Spotifyがその年に注目する次世代アーティスト応援プログラム「RADAR:Early Noise」に選出。ゆっくりとマイペースにリスナーを虜にしてきた彼女の声と音楽が、静かに、そして、より積極的に世の中へと出会いを求めに動き出す。最重要ニューカマー、「儚さと狂気」を内包する才能が、ここに現る。
「好きな人に好きと伝えるようなもの」。にしな さんにとっての自己表現
「小学生の頃から歌手になりたいと思っていたんですが、人前で歌ったり、誰かに評価された経験がなかったから、なかなか人には言えなくて。そんな中で、家族旅行をしていた時に両親が持っていたデジカメで写真を撮ったら、それをお母さんが『上手だね』って言ってくれたんです。写真を撮るのはずっと好きだったし、その時褒められたのが嬉しくて。実は、小学校の卒業アルバムには、将来なりたい職業の欄に『フォトグラファー』って書いたんです」
にしな さんにとって、音楽と同じくらい長い関わりのあるカメラ。歌詞の情景が一瞬で浮かび上がる曲作りにも、写真を撮るときの感覚が活かされているのだと話します。
「歌詞を書くときは、自分自身の感覚的な心地よさと、相手にどうやったら分かりやすく伝わるかのバランスを考えていて。写真を撮るときの『何に焦点を合わせて、何をぼかす』という感覚に通ずるものがあると思います」
「それに、曲のアレンジをお願いする時は、『色はこんな感じ。フィルムカメラの質感のイメージで』みたいな伝え方をすることもあって。写真や映像といった視覚的な情報と音楽は私の中で結びついているのかもしれません」
新曲の『FRIDAY KIDS CHINA TOWN』は、つい踊り出したくなるようなリズムと不思議な言葉選びに引き込まれる楽曲。その制作背景も、にしな さんらしいユニークなものでした。
「歌詞やメロディよりも先に世界観ができあがった曲です。まずタイトルがふと思い浮かんで、次に最近ハマっていたコード進行を弾いていったら、映画『千と千尋の神隠し』の冒頭のような情景をイメージして。それは大人が子どもの姿に戻ってしまって、欲望のままに生きていい街。でも、深入りしすぎちゃうと大人に戻れないという世界観です。いつもは伝えたい感情やメッセージをもとに楽曲制作をすることが多いのですが、今回もっとシンプルに、ちょっとおかしくて、病みつきになる曲にしたいという思いから作りました」
中学生の頃から音楽を始め、同時に写真も撮り続けているにしな さん。自身の中で“自己表現”とはどのようなものなのでしょうか。
「例えば、家族や友人、恋人に『好き』と言うのと同じくらい、カジュアルにできるけど、難しいもの。それが私にとっての自己表現です。また“日常的な存在”という意味では、私にとって音楽と写真は近い表現なのかもしれません」
「ブレすら愛おしい」。にしな さんが語る“チェキ愛”
「はじめて手に入れたカメラはチェキ」と話すにしな さん。現在はフィルムカメラと併せて、2台のチェキカメラを使用していると言います。
「2018年から『“チェキ” instax mini 8+』を使い続けていて。本体にマジックペンでたくさん落書きをした、とっても愛着のあるカメラです。撮影するときに手にインクがついてしまうのが唯一の欠点ですね(笑)。その後、『“チェキ”instax SQ20』も誕生日プレゼントにもらって。こっちも撮影した画像を液晶画面で見返せるので重宝しています」
「最近だと、よくチェキを持っていくのはMV撮影の時。完成した映像には基本的に私やキャストの方しか映らないので、たくさんの人が携わっていた記録を残しておきたくて。“撮られている側”の人から見た景色を切り取りたいんです。あとは、単純にみんなとMVを作っている時が楽しくて撮っちゃうことも。今回持ってきた中だと、屋形船でスタイリストさんを撮影したチェキプリントがお気に入り。カメラマンさんがふざけて映り込んできていて、その“わちゃっと”している感じが好きです」
撮影日時を書き込んで丁寧にファイリングするなど、出来上がったチェキプリントを大切に記録しているにしな さん。その“チェキ愛”は自身のInstagramに投稿されている様々なチェキプリントの画像からも伺えます。今回初めてmini 40を使用した感想についても伺いました。
「チェキといったらポップな色使いのイメージが強かったので、mini 40のレトロで大人なデザインは新鮮でした。これならどんなコーディネートにも合わせられるので、もっといろいろな場所に持っていきたくなりますね」
「私が好きなのは、はしゃいでいる人の写真。『debbie』という楽曲のMV撮影の時に、キャストの子どもにチェキを向けたら楽しそうにしてくれて、いい写真が撮れて。いつかmini 40を持って、また子どもと遊びたいですね。あと、ブレている写真も好きです。『何をしている最中なのか』『これからどうなるのか』とか、想像が膨らむし、一つの映像として思い出せるから。一般的な感覚では失敗と言われがちだけど、気づくとそういう写真ばかり眺めちゃうんです」
撮影協力:Amazon Music Studio Tokyo
text by 山梨 幸輝
photo by 中村 寛史
hair&make by Eriko Yamaguchi
styling by Lee Yasuka
ジャケット 61,600円 ベルパー(BELPER)/Tシャツ 24,200円、ハーフパンツ25,300円 共にコトハヨコザワ(kotohayokozawa)/スニーカー 15,400円 ナイキ(NIKE)/リング 20,900円、ブレスレット 22,000円、チェーンリング 18,700円 全てテン(TEN.)/バングル 36,300円、ピアス 22,000円 共にパソ(Paso)/
その他スタイリスト私物
問い合わせ先:ベルパー 03-6721-0566、アトモス新宿 03-6457-8755、テン 092-409-0373
INFORMATION
にしな ニューアルバム 『1999(ナインティーンナインティナイン)』
2022.7.27発売
収録予定曲:「U+」、「東京マーブル」、「夜になって」、「debbie」、「スローモーション」、「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」「ワンルーム」ほか、全11曲収録予定
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