
アナログな思い出をデジタルに保存。アプリ「instax UP!™」開発担当者にインタビュー
「instax UP!™」は、instax™“チェキ”で撮影したチェキプリント™をスキャンし、デジタル化できる公式アプリです。「アルバム機能」や「カレンダー機能」、「instax Days™」などでコレクションを楽しんだ後、SNSでシェアまで楽しめます。今回は、このアプリの商品企画を担当する今井さん、大島さん、そして開発担当の橋本さんに数年をかけた開発の舞台裏や込められた想い、こだわりの機能について詳しくお話をうかがいました。
▲ 左:企画担当・今井さん / 中央:企画担当・大島さん / 右:開発担当・橋本さん
チェキプリント™をスマートフォンでも楽しんでほしい
──まず、「instax UP!™」とはどんなアプリなのでしょうか?
大島:一言で言うと、チェキプリント™をスキャンするアプリです。さらに、スキャンするだけではなくて、スキャンしたチェキプリント™を集めてコラージュをしたり、SNSでシェアしたりできる機能もあります。
──皆さんは「instax UP!™」において、それぞれどんな部分を担当されていますか?
大島:私は商品企画を担当していて、2023年春にリリースされた初版の立ち上げから今に至るまで継続して担当しています。
今井:大島さんと同じく商品企画を担当しています。私は途中から関わって、「アルバム機能」や「instax Days™」をメインで担当させてもらいました。
橋本:私は開発を担当しています。ちょうど1年前ぐらいからアプリに携わり始めて、今は次にリリースされる新機能などを開発しています。
──そもそも「instax UP!™」の企画はどのように立ち上がったのでしょうか? スマートフォンと連携できる製品も出ているなかで、あえてスキャン専用のアプリを開発した背景が気になりました。
大島:特別なシーンで、チェキ™で写真を撮るという人も多くいます。そんな大事なチェキプリント™を、普段の写真と同じようにスマホで見たいという声がよく寄せられていました。
スマホと連携できるデジタル機能を持ったinstax™製品も登場していますが、シャッターボタンを押すだけでかんたんに撮影・プリントできるアナログカメラのチェキ™も、多くの方々に楽しんでもらっています。そういった方々にも、スマホでのチェキ™の楽しみ方を伝えたい、広げたい、楽しんでもらいたいという思いからこの企画が立ち上がりました。アナログカメラはスマホと通信することは物理的にできないので、そこをなんとかしてあげたいという気持ちがありました。
▲ チェキプリント™を、instax UP!™を使ってスマホでスキャン!
──「instax UP!™」の開発には数年かかったとうかがいました。特に大変だった、難しかった点は何ですか?
大島:まずはやっぱり正確にチェキプリント™をスキャンできることがこのアプリの1番のポイントなので、そこに1番時間をかけました。
橋本:スキャンは実は技術的に難しい部分が多いんですよ。チェキ™のユーザーの方は、プリント部分だけではなくて、フレームごと大事にしている方がたくさんいらっしゃいます。柄や色の違うフレームもいっぱいありますし、フレームに落書きもします。それらのフレームを全部きれいに切り取ってスキャンできないと満足度に繋がらないんです。ユーザーさんがスキャンする環境によってはなかなかスキャンできない場合もあって、今でも日々改善していかなければならない重要な機能です。
▲ instax UP!™では、フレームに書き込んだ文字やイラストもそのままスキャン&保存できます
大島:あとは、「Box View」という、チェキプリント™を箱に入れたような見た目で表示されるモードも難しかったですね。本当に箱の中に散らばったような見た目にするのがなかなか大変で。家の中で実際に箱を振って、その様子を上から録画してみんなで見ながら作りました。夜に家で何度も箱を振ってたので、妻に「うるさい、何してるの」って言われたこともあります(笑)。
ただスキャンできるだけじゃない。操作感まで楽しいアプリ
──「instax Days™」や「アルバム機能」など、新しい機能も続々追加されています。「instax UP!™」で特に愛着がある機能を教えてください。
橋本:私は先程話に出た「Box View」が衝撃的でした。振ってチェキプリント™がいい感じに散らばるところや、見た目もオシャレで、最初に触った時に「これいいじゃん!」って。
▲ 「Box View」
今井:私は「instax Days™」が気に入っています。これは、スキャンしたチェキプリント™を日付順に整理できる機能です。背景も変えられるので、自分の好きな背景にして、スキャンした日にチェキプリント™が埋まっていくのを見るのが楽しいです。もっとスキャンしたくなるし、自分だけのカレンダーがチェキプリント™で作れる。これをまたシェアしたり、スマホの壁紙にしたりもできるので個人的に気に入っています。
▲ 「instax Days™」
あとは「アルバム機能」もおすすめです。たとえばアイドルの推し活で集めたチェキプリント™をコレクションされている方は、好きなメンバーごとにアルバムを作って保存しているようです。こちらも背景を自分で好きなものに変えられるので、自由にアルバムをカスタマイズできます。
▲ アルバム機能
──おもしろい機能がたくさんあるのはもちろん、操作感や見た目など、感覚的に楽しめる要素がたくさん詰まっているようにも感じました。ユーザーに「使い続けてもらえる」アプリになるようにこだわっている点はありますか?
橋本:「instax UP!™」はただ動けばいいのではなく、操作性や見た目など細かいところを大事にしているアプリです。開発を進めていくなかでも、細かくできあがったものをチームで共有して、商品企画、品質評価、デザインなどをいろんなところで見てもらって改良を重ねています。
大島:昨日も1ピクセルのずれがどうだという話し合いで盛り上がりましたね。ユーザーさんからしたら気づかないかもしれないような点もあるけれど、継続して使ってもらうポイントって結局そういうところにあるのかなと思っているので妥協しないようにしています。
具体的には、スキャンした時にチェキプリント™が浮かび上がってくる動作など、十数回試作しました。本当に浮かび上がっていく動画を撮影して、時間をかけたらユーザーは待てないし、パッと変わっても「なんだろう」って思うので、その微妙な時間、タイミングを見ながら作りました。
今井:リリース後にアップデートしている部分もたくさんあります。たとえば、スキャン機能が一番のポイントなので、ユーザーがスムーズにスキャンできるようにアプリ内でガイドを表示するようにしたり。
根底にあるのは、お客さんに楽しんで使ってもらいたいという思いです。本当にこれが1番使いやすいのか、このボタンはこっちにあった方が良くないか、色も変えた方が見やすいんじゃないかなど、細かいところまでプロトタイプを作って確認しています。
──最後に「instax UP!™」を使用するユーザーの方にメッセージをお願いします。
今井:撮ってその場でプリントされるのがチェキプリント™の魅力ですが、撮った後も楽しんでもらいたいと思っています。ちゃんとスキャンしてデジタル化して、それをアルバムでコレクションしてもらったり、「instax Days™」でカレンダーとして見てもらったり、「Box View」でコラージュを作ってSNSにシェアしたり友だちにプレゼントしたりと、より広いinstax™の楽しみ方を味わっていただけたらうれしいです。
橋本:instax™デバイスやアプリはいっぱいありますが、全てのデバイスやアプリで溜めたチェキプリント™を一括管理できるアプリは「instax UP!™」だけです。いろんなユーザーの方に使っていただきたいし、撮って収集して、その中でカレンダーなどを使って楽しんでもらいたいと思っています。
大島:本当にいつも使ってくださってありがとうございます。いろいろとこだわりは言いましたが、正直ユーザーさんからしたらどうでもいいことが多いかもしれません(笑)。でも、このこだわりが日々のアプリの使いやすさに繋がって使ってくださっていたら、これほどうれしいことはありません。今後も機能を追加していく予定なので、楽しみに待っていてください。
数年をかけて開発された「instax UP!™」には、細部に至るまで開発チームの熱い想いが込められています。今後も新機能の追加が予定されているので、チェキ™ライフをより豊かにするツールとしてぜひお楽しみに!
※ instax、チェキ、チェキプリント、instax UP!、instax Daysは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。
※ チェキプリント™はイメージです。
photo by 高見 知香
text by 白鳥 菜都